会議室の名前も「大胆」

 バリューについて、もう少し詳しく説明しましょう。

 3つのバリューの内容を決めたのは、まだ社員が20人足らずだった13年末ごろのことです。当時入社したばかりの小泉(文明・現社長)の発案でした。彼が以前、SNS(交流サイト)運営のミクシィの経営に携わっていた時、バリューが曖昧だったことで経営の軸がぶれてしまったという、強い反省があったからです。ホテルに缶詰になり、アイデアを付箋に書いては捨て、必死で作ったのを覚えています。

 バリューを作ることも、その中身も、決して斬新だと思ってはいません。僕や小泉ら創業時のメンバーがもともと持っていた価値観や行動様式ですから。経営者の価値観や行動様式を言語化して、社員に伝わるように行動規範として掲げる企業も珍しくありません。

 ただ、メルカリが他社と違うとすれば、それは経営陣と社員がバリューを共有し、実践している点でしょう。そのために、日常的にバリューを意識してもらうよう工夫してきたつもりです。

 例えば、本社オフィスの会議室を「BOLD」「PROFESSIONAL」「ALL」「FOR」「ONE」と名付けているのは、そうした工夫の一つです。「次はBOLDで会議です」などと、日常の会話の中で当社のバリューを自然に口にする状況を作り出したわけです。

 実は最近、この会議室の名付け方も“大胆にやろう”といって変えました。最近新設した会議室には「EINSTEIN」「DARWIN」といった偉人の名前を付けています。社員が日常の中で彼らの偉業の数々に思いをはせ、イノベーションとは何か、といったことを少し考えてみる。そんなきっかけになればいいと思っています。