フリマアプリを展開するメルカリを創業した、山田進太郎会長兼CEO(最高経営責任者)はどんな経営者か。その生き様(Life Story)を記者が描き、山田氏自身がQ&Aの形で講義(Lecture)をする。連載第1回は、フリマアプリで世界に挑む野心的な経営者の原点に迫るLife Story。どの領域なら自分が頂点に立てるか。自身の強みと弱みを考え抜いた先に活路があった。=本文敬称略(本コラムは日経ビジネス本誌の連載「経営教室『反骨のリーダー』」を一部、再編集して掲載しています)

【山田進太郎会長兼CEOの「Go Bold」の生存戦略】
第1回(Life Story):「僕は『天才』じゃない」~野心的経営者の原点
第2回(Lecture):メルカリ山田CEOに学ぶ~見えない壁を壊す魔法
第3回(Lecture):メルカリ山田CEOに学ぶ~起業はとても割に合う(8/30公開)
第4回(Lecture):メルカリ山田CEOに学ぶ~自分だけの山を登る(8/31公開)

■お知らせ■

日経ビジネス本誌では、連載「経営教室『反骨のリーダー』」を掲載しています。

(写真=的野 弘路)
山田進太郎[やまだ・しんたろう]
1977年 9月 愛知県瀬戸市で生まれる。父親は弁護士、母親は税理士
90年 東海中学校・高等学校に入学
96年 早稲田大学教育学部入学
97年 デジタルコンテンツなどの制作サークル「リンクス」で幹事に就任
99年 大学在学中に楽天で「楽天オークション」の立ち上げなどに携わる
2001年 ウノウ創業
04年 1年間の渡米生活
09年 ウノウ、ソーシャルゲーム参入
10年 ウノウ株式を米ソーシャルゲーム大手のジンガに譲渡
12年 ジンガ日本法人を退職し世界一周の旅に
13年 メルカリ創業、フリマアプリを提供
17年   フリマへの現金出品などが社会問題に。本人確認の徹底など対策強化
17年   アプリの累計ダウンロード数が1億件を突破
18年   東証マザーズ上場

 「今年最大のIPO(新規株式公開)」「時価総額が一時8100億円を突破」「ストックオプションで億万長者の社員が続々誕生」──。

 6月19日、日本で希少なユニコーン(評価額10億ドル超の未上場企業)の一社が、東証マザーズ市場に華々しくデビューした。フリーマーケット(フリマ)アプリで国内最大手のメルカリだ。

 公募株の応募倍率が個人投資家向けで約50倍に達するなど、上場前から投資家人気は過熱。上場初日の終値は公開価格を2300円上回る5300円となり、時価総額は7100億円を突破した。日本の株式市場はこの日、“メルカリ祭り”に沸いた。

 そんな喧騒のど真ん中に身を置きながら、ひょうひょうと分刻みのスケジュールをこなしていた男がいる。山田進太郎、40歳。メルカリの創業者で現・会長兼CEO(最高経営責任者)である。

 山田はシリアルアントレプレナー(連続起業家)の第一人者として、かねてIT業界で知られた存在だ。早稲田大学卒業後に設立したウノウを2010年、当時ソーシャルゲーム大手だった米ジンガに数十億円で売却。ジンガ日本法人の幹部を2年務めると突如、世界一周の旅に出た。旅先で新事業のヒントを得て、帰国後の13年に設立したのがメルカリだ。

 スマートフォン(スマホ)で手軽に中古品を売買できるCtoC(個人間取引)サービスは当時珍しく、開始直後から急速に普及。アプリの累計ダウンロード数は17年末時点で1億件を超えた。アプリを毎月使ってくれる得意客も1000万人を突破。17年4月~18年3月の国内流通総額は約3200億円と、前年同期に比べ6割近く増やした。

 こうして築いた顧客基盤をてこに決済サービスを投入して“エコシステム”を創るのが、今後の成長の柱だ。17年11月設立のネット決済子会社「メルペイ」を通じ、スマホ向けの決済サービスを提供する方針を持つ。

 開始からわずか5年でこれほどの人気サービスを築き上げた山田とは、どのような人物なのか。

 山田に問うといつも「もともとリーダーシップにたけたタイプじゃなかった。今もそう」と謙遜する。だが、IT業界でひとかどの仕事をなした者ほど、山田と一緒に働くことに魅力を感じるものらしい。

 13年末のメルカリ入社以来、山田と二人三脚で経営を切り盛りしてきた現社長の小泉文明。かつて日本発のSNS(交流サイト)などを手掛けるミクシィのCFO(最高財務責任者)を務めた人物だ。17年6月にはSNSの世界最大手、米フェイスブック幹部のジョン・ラーゲリン氏が参画。携帯ゲーム大手グリーの元常務、青柳直樹も17年11月に合流、メルペイの社長に就任している。そのほかにも著名なスタートアップ経営者、気鋭のCTO(最高技術責任者)など、キラ星のごとき人材がメルカリに集結している。