「リストラ続きのそごう・西武にとって、久しぶりの攻めの施策になるはずでした」
ある関係者は、同計画についてこう語る。
リニューアルの肝と位置づけられていたのが、本館の斜め裏にある自社所有の土地だ。広さは3000平方メートル超。現地まで実際に歩いてみると、道路を1本隔ててはいるものの、本館から3分もかからない。だが、それだけ繁華街の中心にありながら、いまは立体駐車場としてしか使われていない。

この土地、そごう・西武が一度は手放した経緯がある。バブル期の過剰投資がたたって経営難に苦しんでいたそごう(当時)が、1996年、民間都市開発推進機構に売却したのだ。
興味深いのは、この土地を買い戻したのが2006年12月であることだ。そごう・西武がセブン&アイ傘下に入った、ちょうど半年後なのだ。
セブン&アイ傘下入りの象徴
当時を知るセブン&アイ関係者は「思い入れのある土地だと聞かされた鈴木敏文会長(当時)が『それなら買い戻せばいい』と即決した」と明かす。頼りがいある親分が助けてくれた――。グループの一員となった象徴として、この土地の買い戻しはそごう・西武社員に強く印象づけられたことだろう。
この土地にビルを建設すれば、たとえば本館を建て替えるあいだの代替店舗として活用できる。本館の建て替えが終わった後は、低層階にグループのイトーヨーカ堂を食品スーパーとして入居させられる。駅からの近さを考えれば、中層階はオフィスとして、高層階はマンションとして分譲することも可能だ。
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