資本主義の国の中にも社会主義の要素はある

:中国の発展は単なる社会主義ではありませんし、西側諸国の発展も単なる資本主義によるものではありません。資本主義は第一次工業革命、第二次工業革命を経て大きな変化がありました。資本主義にも絶え間ない調整があり、実際多くの社会主義的なものを取り入れています。例えば北欧の国々の社会主義的な要素は我々と比べても決して少なくないと言えます。社会福祉としての医療や住宅、最低賃金や失業保険などはいずれも社会主義的な要素でしょう。

 我々も小規模農村経済からいきなり社会主義に到達するのは不可能で、市場主義経済による発展を必要としました。どのように工業化し、都市化するのかという基礎がなければ社会主義は成功しません。マルクスは「社会主義の前提は一人ひとりがこの社会につながること」と強調しています。現在、我々は市場やスマートフォンを通じて世界と直接つながっています。

 中国の多くの農民はスマホやパソコンを通じて、農産品を全国や世界に販売しています。これを「中国の特色ある資本主義」と言う人もいますが、それも間違いです。社会主義に固定したモデルはありませんし、資本主義にもない。だからこそ1992年に鄧小平が南巡講話をした際に「誰もが市場経済になることができる。なぜ我々が市場経済になってはいけないのか」と語ったのです。

 米国は中国が米国と同じになることを望んではいけません。14億弱の人口を抱え、広大な国土を持つ中国は米国と同じようにはできません。

米国は中国が米国を超えることを恐れているようにも見えます。中国をライバルとみなし始めた米国に対し、中国はどう対応するのでしょうか。

:米国は1900年から世界一となり、百数十年にわたり現在の地位に慣れ親しんできました。世界の軍事面、経済面において唯一の大国という認識が彼らの中にあるのでしょう。第二次大戦後にソ連の脅威が出てきて、米国が自らの地位に挑戦してきたと感じると、政策決定に大きな影響を及ぼしました。

 現在の中国と米国の差はまだまだ大きい。中国はGDPで世界第2位の経済体になったとは言え、国民1人あたりのGDPはまだ数分の一。米国は約5万7000ドルですが、中国はまだ1万ドルにも達していません。

 我々の基礎はあらゆる面でまだ弱い。米国は中国の製造業のレベルが低いうちは容認していました。トランプ大統領の制裁関税も衣料品や玩具は対象に入っていません。彼らが心配しているのは「中国製造2025」でしょう。中国の製造業が低レベルなものから中レベル、高レベルなものになることを恐れています。

 製造業のレベルアップは中国自身にとって必要なものです。中所得層が増えてくるにつれて、彼らの要求は一律なものでなくなってきました。米アップルのiPhoneや以前は日本から輸入していたテレビや冷蔵庫などは今となっては日常の道具になっています。私が85年に初めて日本に行った際、テレビを買って持ってきました。当時としては高額消費でしたが、今は普通の消費です。フランスや韓国の化粧品なども値段を気にせず買います。