外交政策の中には、習主席の肝いりの「一帯一路」も含まれます。この構想は過剰生産と投資を輸出するだけでなく、中国共産党の価値観を広め、中国の安全保障を強化するメカニズムと言えますので。ここまで述べてきたことが、私の言う習主席の「第3の革命」です。

習主席の時代に共産党の支配は強化されました。

エコノミー:習主席が主導した反腐敗運動は支配を強める上で重要な役割を演じました。過去を振り返ると、反腐敗運動の大半は始めてもすぐに中止されるというのが一般的でした。でも、習主席の反腐敗運動は逮捕される人が年々増えるなど力強さが増しています。これは非常に珍しいことです。

 また共産党だけでなく、戦争で勝てるように人民解放軍も強化しました。戦区の見直しや統合作戦本部の設立など米国のシステムに近いアプローチで人民解放軍を再構築しました。これは人民解放軍の質を向上させるためのものです。

「腐敗は中国共産党の死」

習主席にとって反腐敗運動はどういう意味を持つと考えていますか。

エコノミー:一つは腐敗の根絶です。習主席は権力を握った際に、「腐敗は中国共産党の死であり中国という国の死になりうる」と述べました。胡錦濤・前国家主席も同じことを話しましたが、実際に推し進めたのは習主席です。彼は政治体制から腐敗を取り除かないと、イデオロギーを失ったのと同じであり、共産党の未来がないと考えています。人々が中国共産党に対する信念のためではなく、政治的、経済的な発展のためだけに共産党に入党するのであれば、共産党は生き残らないでしょう。

 もちろん、反腐敗運動には政敵の排除という狙いもあります。この運動で政府の副部長級やそれ以上の高官が多数、拘束または逮捕されました。彼らは習主席の政敵に関わりのあった人々なのは確かです。ただ、低いレベルでは全員が彼の的ではありませんので、この運動の目的は腐敗撲滅がメインだと思います。

エコノミー:繰り返しになりますが、彼の包括的な目標は偉大な中華民族の再生だと思います。そのために、国内では政治体制の前線で強固な共産党を築くこと、戦争で勝利できる人民解放軍を作ること、単なる製造業の中心になるのではなくイノベーションのリーダーになること、米国や日本、ドイツなどと対抗できるような革新的で最先端の経済を構築すること――が国内政策の優先事項になります。

 外交政策の最前線は台湾や香港、南シナ海の領有権などの主権問題で中国を再統合させることだと思います。また、中国が主張するインターネット主権(各国がインターネットに関して最高権力を保持すべきだという考え方)や人権といったイシューで、欧米の自由主義・民主主義的な価値観ではなく、中国の価値観を反映させたいと考えているのでしょう。最終的にはアジアから米国を追い出すことが目標だと思います。

アジアの地図を書き換える中国

第2次大戦後、米国が中心になって築き上げた国際システムに修正を加えようとしているのでしょうか。

エコノミー:自由主義的な国際秩序のルールを書き換えようとしているか、といえば答えは「イエス」です。もちろん、領土面もそうです。南シナ海の軍事拠点化や(戦闘機のスクランブルの基準になる)防空識別圏の設定といった動きを通して、中国は地理や戦略地政学的な状況を書き換えています。