機会があれば、北京、上海、深センなどの中国の大都市を訪れてみてほしい。週末のレストランやショッピングモールは、一部の高級店を除けばお客さんでいっぱい。朝夕の幹線道路は大渋滞だし、都市間を結ぶ高速鉄道や飛行機もほぼ満席だ。道ゆく人々の表情もおしなべて明るい。経済指標とは裏腹に、景気が悪そうには見えない。
ギャップの背景には、中国経済の減速と同時進行で起きている大きな構造変化がある、というのが筆者の見立て。製造業からサービス業への、成長エンジンの主役交代が加速しているのだ。所有欲を満たす「モノ」だけでなく、価値ある体験を重視する「コト」へ。こうした変化をつかみ、魅力のあるサービスや商品を提供できる企業にとっては、GDP成長率が高かった数年前よりも、むしろ今の方がチャンスが大きい、と言っても過言ではないのだ。
経済減速下の中国で業績を伸ばしている日本企業に注目し、現地事情に詳しいキーパーソンへのインタビューをお届けする。