部門ごとにターゲットとする期間は違うのですね。

松﨑:環境であれば2050年の目標を立てています。
 短期的に結果を出すことは経営者として大事なことですが、中長期的に事業を変え、新しい事業を起こしながら、成長していくことも大事です。
 そういう会社と投資家に理解していただいて、そういう会社をターゲットとする投資家から投資をしてもらいたいのです。

 投資家にも様々なタイプがいます。少し株価が上がると利益を確定したいとすぐに売却する投資家や、3年では結果を出さないといけないと考えるファンドマネージャーのような投資家もいます。

 そうではなくて、当社はそれより長いスパンで見てくれる投資家をターゲットとしています。ビジネスでもターゲットは大事ですよね。当社で投資家を選ぶことはできない。でも当社が大事にしたい、自ら開拓したいのは、中長期で評価する投資家です。
 なぜなら当社は持続的な成長を最も大事にしているからです。

投資家とのコミュニケーションは変わってきた手ごたえは感じていますか。

松﨑:当社は海外売上高比率が高い会社です。海外の投資家との対話、ミーティングを年に2回やっています。
 従来は証券会社を通じて面談する投資家を決めていました。私が社長になって1年目はそうしました。

 でも、少し違うなと。当社のスタンスと合う投資家と、3年で結果を出すという投資家とでは、質問も違います。だからIR部長に対して、次からはターゲットを決めて、中長期の投資家のリストを作ってもらって面談を始めました。
 そうは言っても投資家から面談の要望には答えますが、主として自分たちがこうと決めて対話を続けたのは中長期の投資家です。

そういう対話を繰り返していると、投資家の反応が変わってきますか。

松﨑:自分たちがやろうとしていることにどう反応しているかを理解できます。変わるためにM&Aをすると、投資家からどういう判断だったのかを確認されたり、特定の部門を勉強して具体的な質問がきたりします。

 私として参考になったのは、中長期スパンですからリスクに強い関心があります。ESG投資は、基本的には長く銘柄を持ちますので、ガバナンスやCSRへの関心が高くなっています。

 ESGも元はといえば、リスク管理から来ていると思います。実際、対話をしていると、それぞれの事業に対して投資家から見えるリスクの質問を受ける。それが当社が考えていたものと、それほど気にしていなかったものもあり、参考になりました。

対話が事業の参考になるのですね。持続成長の進捗を測る意味で、参考にしている外部指標はありましたか。

松﨑:外の判断基準でいうと当社はどう位置づけられるのかということでは、ダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・インデックスを大事にしてきました。

 いい質問をしているなと。時と共に質問内容も変わってきますし、それに当社がどれくらい対応できるのか。グローバルの同業の中でどのような位置づけになるのかと。持続的成長のすべてではないが、それを測る一つのメトリックスになると思いました。

 これも実はPDCAを回しているんです。全執行役に対して今回の結果はこうでした。同業の中でどういうポジションになるか。どういうことを聞かれ、このポジションになるのは当社がこういう答え方をするからだとか。となると、この質問に当社が応えられていないと分析する。
 いい点を取ることが目的化してはいけない。指標が自分たちがやろうとしている目的に対してうまく合っている目的なのか。これをやれば目的にたどり着くんだという指標でなければならない。もう1つは結果を出すことが目的になっていはいけない。

 それを言ったうえで、その中で質問に対してできるものとできないものとを分けます。これは自分たちで判断して、できていないけれども自分たちには必要ないなということは少し置いておく。それはどういう事業活動をやるかによって変わってきますから。

 グローバルで持続的成長を掲げている当社としてはやっておかないといけないとか、世の中の関心事が変わっていてそれに当社はまだ対応できていないという認識をしたら、むこう1年で対応できるようにしようと。ここでもPDCAを回しているんです。