マツダのCX-3かCX-5かパッと見たら分かりません

デザインも見直しました。

金井:デザインはね。とにかく格好いいのと欲しくなる、乗りたくなるデザインを注文しました。

 一目見てマツダだと分かるデザインね。だからマツダ車同士を見比べて、「どっちだろう」と分からないのは別に構わん。ぜんぜん構わん。

 街で「あれはアテンザ」と分かる必要は二の次でいい。「あれはマツダだ」と分かるのが必要なんです。

アテンザとアクセラでデザインの違いを際立たせる必要はないのですね。

金井:ぜんぜん。一番はマツダに見えることが大事です。それは独BMWや独アウディだってそうですよ。

 僕だってパッと見たらBMWの7シリーズか5シリーズなのか分かりませんよ。でもBMWだって分かります。それでいいんです。

 マツダのCX-3かCX-5かだってパッと見たら分かりませんから。自慢じゃないけど(笑)。ぜんぜん問題ないです。マツダと分かることが大事なのです。

どのメーカーか分からないクルマもありますよね。

金井:マツダだけども、AかBを確実に識別できるようにしようとしたら、結局分からなくなるから。そもそもナローレンジの中にさらに識別しようなんて要求が矛盾してますよ。

マツダの商品ラインアップ。金井会長は一目でマツダ車と分かることが大事だという

不安を持つ社員とは徹底的に対話を

長期ビジョンを実現するうえで苦労した部分はどこですか。

金井:1番はビジョン、プランを進めていくうえで経営陣や社員から結構不安の声が出たんです。
 不安は2つありました。1つはこの戦略は正しいのかということ。もう1つの不安は、本当に自分たちにやり切れるのかということです。これが出たり消えたりをずーと続ける訳ですよ。

 外部からも「マツダはハイブリッド、電気自動車をやってないの?これはダメだ」という声がある訳ですよ。それを聞くとみんな不安になるんです。

 僕は自分の仕事だと思ってやったのは、社内でそういう不安の声を払しょくすることです。社外でも「信念を持ってやってます」と言います。外野の無責任な方々の声を聞いて、社員は我が事ですから、ますます不安な思いが募っていきます。

そんなときにどんなことを心掛けたのですか。

金井:社内にも社外にもコミュニケーションですよ。同じことを何度も。サステイナブルzoom-zoom宣言の木の話を何度したことやら。

どんな形でコミュニケーションをとるんですか。

金井:それはいろいろです。41のチームに、「まず目標はどこに立てたか」と確認して、「そんな目標じゃダメだろ」と。

 「そんなことはできません」とか言ったら「いやいやもっと考えろ」「それはお前、志が低い」とか、ああだこうだ言いながら。それは自分たちにできるのかという不安でしょ。

 「だから一切の制約は外していいと言ってるだろ。お前の提案には、もうほらほら先入観が入ってるぞ」とかね。こうやって不安やくじけそうな気持を奮い立たせないかんし。

 ハイブリッドがどうこう言う社員に対しては、「いいか。サステイナブルzoom-zoom宣言に書かれた『すべてのお客さまに』を実現できるのか」と。上にも横にも下にも外にも中にも(笑)。一生懸命やるんですよ。