リソースの少ない人が考えた戦略

長期ビジョンでは「2015年までにグローバルで販売するマツダ車の平均燃費を2008年比で30%向上させる」という目標を掲げました。どのように作りましたか。

金井:それは長期ビジョンを発表してから1年後の2008年6月に発表しました。既に達成できそうなデータがシミュレーションから出てきた。研究の成果で「おお、30%はいけるいける」と、手ごたえを感じていた。

経営資源を内燃機関にしぼったことで、目標達成が見えてきた面はありますか。

金井:電気自動車で平均燃費を上げるという選択肢もありますが、我々は全体で上げようとしました。ここでいう平均燃費30%という意味は、CO2換算でいうと、23%削減です。

マツダはガソリンエンジンとディーゼルエンジンで世界一の圧縮比を実現。環境技術「スカイアクティブ」と名付けた

規制をクリアすることにも合致しますね。

金井:規制はもちろん考えないといけないが、コンセプトの方が大事です。

トヨタさんの戦略とだいぶ違いますね。

金井:そうです。だいぶ違うと思います。これはリソースの少ない人が考えた戦略です。

VWのMQBを調べたけどよく分からなかった

長期ビジョンをきっかけに、複数の車種の一括企画、技術コンセプトの共通化に取り組みました。今でこそ一般的になっている概念ですが、マツダが表明した10年前はあまり知られていませんでした。

金井:当時はフォルクスワーゲンのMQB(複数の車種で主要部品を共通化する戦略)があったから調べました。だけど良く分からなかった。

 他社がどうやっているというより、自分たちで一生懸命考えてやればいいじゃないかと。それで2006年から複数の商品の一括企画をやりました。

それもサステイナブル“zoom-zoom”宣言の一環ですね。

金井:それもね。2015年を描いたときにエンジンもトランスミッションも車体も足回りも全部新しくする。そうしないとやっぱり世界一の競争力にはならんと。制約を外してやるからいいのを考えろと。

 もちろんそれぞれのインターフェースの部分は、お互いのユニットが意見を出し合いました。

複数の車種を一括企画することに対して怖さはありませんでしたか。

金井:リスクはあります。ただそれは顕在化した時にもう一度直せばいいのです。

急に新たな技術が台頭するリスクもあります。

金井:各社がどんな先行技術開発をしているかを相当調べました。ですから、これはまずいと思った時に最善を考えればいいのであって、今考えることを無意味だとはしませんでした。