エンジン部門に相当プレッシャーをかけた

それは楽しい作業ですよね。

金井:楽しいですよ。自分たちのありたい姿を考えるなんてやったことないですから。  経営企画が2015年ビジョンを作ろうと言った時に、開発が一番ワル乗りしたんです。

ここぞとばかりに(笑)

金井:一番ワクワクしながら、作ったんです。いろんなタスクチームを作ってね。
 僕が注文したのは、zoom-zoomはずっと続けていくぞと。始めの理念をじっと見たら「エンジンが世界一」って見えないと。
 zoom-zoomはワクワクするクルマだから、やっぱりエンジンがまず一番だろうと、私はエンジン部門に相当プレッシャーをかけた。「ワクワクする提案を持ってこい」と。エンジン部門とはずいぶんキャッチボールをしました。

マツダは2007年に長期ビジョンを発表した。2015年には環境と安全の技術をつけ、「走る歓び」を体現する木が大きく育つという戦略を立てた

どれくらいのタスクチームを作りましたか。

金井:最初は4,5つのチームで、どんなクルマにしたいのかを考えた。その後はユニットに切り分けて41チーム作りました。エンジン、駆動系、サスペンション、車体、オーディオのチームなどいろいろ。細切れにね。
 その中でもエンジンはzoom-zoomを言うときに一番大事というのが共通認識だった。エンジンが一番気持ちよく仕事するためには、エンジンの注文をすべて出せと。
 例えば排気管はスパーンと後ろにつなげたいと。そういう格好の車体にするとか。

実現可能性はどのように加味するんですか。

金井:もちろん加味するんですよ。「とにかくこれで10年後に世界一と言えるんですか。その自信があるならやりましょう」という意気込みです。

それは特にエンジンについてですか。

金井:いいえ、全部です。10年後の世界一という目標で、どんな技術を提案できるかと同じことを言っています。

構想をまとめるまでどれくらいかかりましたか。

金井:1年くらいかかりましたよ。ずーと継続しながら何巡りもしましたから。一回まとめても突き返して「ここはいいかももっとここを詰めてこい」と言って、ぐるぐる回る訳ですよ。

金井さん、恐そうですね。

金井:まあね(笑)。面白かったと思うけどな。開発者の目がだんだん輝いてくる。一切の制約は省いてもいい。ただし、コスト目標はセットで最初に与えていますから。無茶苦茶厳しいものを。コストは青天井ではない。
 サステイナブル“zoom-zoom”宣言に「すべてのお客様」ってあるでしょ。これがポイントで、ものすごくコストの高い技術を使ったら、「お前それですべてのマツダ車に使っても大丈夫だと思うかい?」と問いかけるのです。

コスト目標は各ユニットに課すのですか。

金井:そうです。最初は結構抽象的ですよ。一律20%以上削減せよ、とか。

サステイナブル“zoomzoom”宣言に対する経営陣の反応はいかがでしたか。

金井:別に異論はなかったですね。ことさら反対はなかった。

今のマツダの源流がここにある訳ですね。

金井:そうですね。(下に続く)