マツダは長続きしないと思っていた

まだ実行していないですからね。

金井:そうそう。ただアテンザがそこそこ成功。その後のデミオ、アクセラ、RX-8もそこそこ成功して、zoom-zoom路線は間違いじゃないと。
 改めてここでリマインドするという意味で、当時の経営企画という部門が、「そろそろ長期ビジョンを考えましょう」と言い出しました。
 2000年を底にマツダの業績は右肩上がり、みんなでクルマの開発を一生懸命やってきましたが、誰も長期を考える余裕がなかった。
 ただ、zoom-zoom戦略も社内外にある程度、定着し始めてきた。そういう中でそろそろ10年後くらいを考えないか、と言われ、そりゃそうだ。という話になった。
 社内でも「zoom-zoomの次は何ですかね」という話がありました。「マツダは長続きしない」と社員も思っていた(笑)。

  ホントの長期の方針を作ったことがないから、私は10年後を考えようという提案に大賛成だった。
 zoom-zoom戦略を徹底するいい機会だし。一車種ごとを考えるというのは、実は3年後しか考えてないんだよ。

金井誠太会長は実直の物言いで、組織をまとめていく(撮影:陶山 勉)

万一外れたら直せばいい

その中で生まれたのが、長期ビジョン「サステイナブル“zoom-zoom”宣言」ですね。10年間で社会や自動車開発のトレンドが大きく変わるかもしれません。長期の戦略を決めることにはメリットとデメリットがあると思いますが、そこはどのように考えたのですか。

金井:それまでマツダは10年も先のことを考えたことがありませんでした。3年後にどんな商品を出すかを毎回、並行で続けてきました。
 僕はプラットフォームをどうするかという戦略を考える企画設計にいたことがあります。
 その当時、社内では1つのプラットフォームを2、3の車種に水平展開していくのは、考えても無駄と良く言われていた。
 だって技術は日進月歩。決めてしまうと、この先通用しないものを使い続けるリスクがある。いつも最新の技術を入れていく方がいいという考えもあった。

 でもね。投資をしてこれを使い回すということまで考えて、万一外れたら直せばいい。何も考えずにいつもそれを繰り返すよりかは、一度先までしっかり考えてみようと。

 それを考えるからには、なまじの競争力ではなく、もっと世の中がどこまで進歩しそうかを考えて、3年先ではなく10年先でも通用するんかということを、知恵がないなりにも一生懸命に考える。
  データを並べてみて、ここまでやらなきゃいかん。そういう高い目標を自ら考えてみろと。

 2006年にスタートして、社内では2015年ビジョンと言っていたんです。1年さば呼んで、本当は9年先だけどね。
 2015年にどんな会社になっていたいか。そんな夢を語り合う訳ですよ。できるできん、というのは忘れて、先を考えようやと。