8月下旬、トヨタ自動車は社運をかけたクルマの試乗会を開催した。新型プリウスPHV(プラグインハイブリッド車)だ。同社はこれを、「ハイブリッド車(HV)につぐ次世代環境車の柱」と位置付けている。

 2012年1月に発売された初代プリウスPHVの販売台数は、今年8月までで約7万5000台と苦戦している。新型車で存在感を発揮できないと、拡大するPHV市場で他社の後塵を拝すことになる。

 確かに力の入ったクルマだ。初代プリウスPHVとの性能の差は歴然である。リチウムイオン電池の総電力量を2倍にして、電気自動車(EV)モードでの走行距離は従来の26.4kmから60km以上に伸びた。

 ヒートポンプオートエアコンの搭載で、EV走行中に低温でもエンジンに頼らず、暖房を作動できるようにした。11.6インチの大型ディスプレイによるナビゲーションシステムを搭載するなど、新しい技術をつぎ込んだ。

 デザインも特徴的である。新型プリウスHVと同じプラットフォームを使っているが、HVよりシャープなフロントデザインになった印象だ。

 そして象徴的なのが、クルマのルーフに太陽電池を搭載したモデルを用意したことだ。パナソニック製の最大出力180Wの太陽電池を使い、ニッケル水素電池に充電する。これは1日当たり最大6.1km、平均2.9kmのEV走行ができる電力に相当するという。

プリウスPHVは低重心が売りの新型プラットフォームを用いるため、カーブなどでの走行が安定している
プリウスPHVは低重心が売りの新型プラットフォームを用いるため、カーブなどでの走行が安定している

次ページ 販売面でプリウスHVの呪縛も