日本興業銀行を振り出しに、主に国際金融畑を歩いてきた長門正貢氏。昨年のゆうちょ銀行社長への就任を経て、今年4月からはゆうちょ銀行、かんぽ生命、日本郵便などを統括する、日本郵政の社長に就任した。
長門氏は大変な読書家であり、シティバンク銀行の会長時代に「日経ビジネス」の書評欄のコラムをお願いしたことがある。そのときのご縁で、いつか「日経ビジネスオンライン」に、読書コラムをとお約束していたのだが、さすがに日本郵政の社長となられてはその時間は無いだろう、と半ば諦めていた。だが、長門氏は約束を忘れていなかった。(担当編集Y)
ごぶさたしました。まさか覚えていてくださるとは思いませんでした。
長門正貢社長(以下長門):約束は守りますよ。でも、最近、新聞さえ読み切れないからね。読書コラムの筆者には向かない生活になってます。
活字が大好きな長門さんがですか。
長門:新聞、雑誌、本、活字は大好きでいろいろなのを読んでいる、いや、読んでいたんですけれど、最近は時間が…。
社長の日常というのは、本もお読みになれないものなのですか?

長門:たとえば朝は外国の金融関係者を中心に、週に3回ぐらい朝食ミーティングが入るんです。夜はもう、とても入れられないから。昼は昼で会議と会議の間が結構タイトなので、食事の時間も分刻みになってしまいます。業務時間が終わると、夜はたいていイベントか社外の会議か、ミーティングです。日本郵便のお得意様を招いた催しがあれば、社長ですから挨拶をするわけですけれど、主義として原稿を読むのは嫌で、自分自身の言葉で、なにかちょっと気の利いたことを言いたい。となると、作文して、それを暗記して、と、パーティの前にも時間がかかりますよね。この前は東京五輪関連の会議を経営者が4、50人集まって開いたのですが、これで2時間、前後を入れると3時間以上かかりました。
業務時間外にぎっしり予定が入るんですね。
長門:会社に来るでしょう。わーっと会議が始まって、気が付くと夜の7時になっていて、おっと、間に合わない、と、走ってディナー…といっても中身は仕事ですが、に行って、と。こんな生活をしていたら、ひどい馬鹿になってしまいそうで困っています。
じゃあ、お帰りになってからは、もうバタンと倒れて寝る。
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