中国には1800万人もの並行輸入業者がいる!?

なぜ越境ECが、これほど伸びているのでしょうか?

菊池:まず何と言っても、中国の消費者が海外の製品の品質を、私から見ると過剰なまでに信頼していることです。

 まず海外旅行時の商品購入。日本でいうところのインバウンドの増加が要因です。一度買って気に入ったものはまた買いたくなるのが当然ですから、それが越境ECの増加へとつながっています。

 さらに、政府の後押しという側面もあります。背景として、海外旅行者や個人のバイヤーが海外で買い付けた商品を中国国内で転売するケースが増える中で、政府はそうした輸入品からしっかりと関税を徴収したいと考えています。

 実は、中国には1800万人もの「ソーシャルバイヤー」と呼ばれる、並行輸入を手掛ける人々がいると言われており、日本だけではなく世界中から商品を買い付けています。 日本人から考えると中国では1800万人もの人が並行輸入を手掛けているとは信じられない話かもしれませんが、その多くがアルバイト感覚でやっています。

 留学生が友人と2人で年間1億円分の商品を買い付けて、日本から中国に送っているといった話や、規模が大きくなると倉庫を用意して買い付けた商品を一時的に保管しているといった話もあるほどでです。そして、アリババグループの消費者同士の取引(CtoC)サイト、「淘宝網(タオバオ)」などで輸入した商品を売っています。

 本当はそうした「ソーシャルバイヤー」からも、しっかりと関税を徴収したいのですが、広大な中国大陸全域で個人の輸入を正確に把握し、適切な関税を課すのは人手・手続きスピードの両面で現実的には難しい。そこで、中国国内に「保税区」という地域を作り、その地域を通る輸入品には通関システムを整備することで、スピーディーに適切な関税を課せるような体制を整えています。

 商品を保税区を通して中国国内に輸入することに越境ECサイト側も協力しており、その代わりに輸入にかかる手続きなどを簡素化。中国国内での販売をし易くすることで、越境ECサイトを優遇し、ある意味では保護しているというわけです。

表 3つの購買ルートから試算した中国人の日本からの購買額(2014年)
※1(並行輸入業者による購買)…並行輸入業者による購買額6000億円のうち左に記した2つの項目との重複が含まれる為、半分の3000億円にて試算。
※2(年間小売総額に占める比率)…経済産業省 平成21年度版 我が国の商業内の化粧品、飲料、菓子、飲食料品、医薬品、電気機器、婦人服・紳士服・子ども服、身の回り品、家庭用品、その他の医療、家庭用電気機械器具、酒、たばこ、料理品、趣味・スポーツ用品等の小売総額より試算
(出所)ルイスマーケティング

 なお、「ソーシャルバイヤー」が日本で買い付ける商品の金額も急増中で、私たちが各種の統計類から試算した推計値()では、2014年の「ソーシャルバイヤー」による買い付け額は3000億円。加えて越境ECのにおける購入額は6064億円、インバウンドの購入額が4020億円ですから、トータルで1兆3084億円に達しています。この金額については、私たちの予測では、2015年に2兆円を超えたと見ています。