生産性を高めるために、具体的には何が必要ですか?

民間のイノベーションに期待

 必要なのは、「イノベーション」「産業の高度化」、そして「国有企業改革」です。

 成長分野で中国の民営企業がイノベーションを生み出して伸びていくことに私は楽観的です。例えば、中国で一番元気な分野であるインターネット通販で活躍するのは民営企業ばかり。そして、小売販売総額に占める電子商取引の金額は中国が6000億ドルで、米国の3500億ドルを大幅に上回っています。小売販売総額に占める電子商取引の比率でみても中国は米国を大きく上回っています(図2参照)。

図2 中国におけるインターネット通販の販売額の推移
   -米国との比較-
図2 中国におけるインターネット通販の販売額の推移<br />   -米国との比較-
(出所)U.S. Department of Commerce、中国国家統計局、中国インターネット情報センター(CNNIC)のデータより野村資本市場研究所作成
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 また、最近、全人代における「政府活動報告」では、「ゾンビ企業」の処理が優先課題として挙げられています。その一環としてファンドを作り、労働力を鉄鋼や石炭といった衰退産業から成長産業に移すことを支援しようとしています。これにより、産業の高度化が促されるでしょう。

 一方で心配なのは、国有企業改革です。1999年に「国有経済の戦略的再編」という方針が決められ、それに従えば、一部の分野を例外として、大半の国有企業が民営化の対象になるはずでした。しかし実際その後、大型国有企業はほとんど手付かずで残っています。

 さらに習近平政権になってからは、国際競争力を高めるため国有企業を強化するという方針が示され、大型国有企業同士が統合し、より独占的な存在になっています。効率的な企業統治のためには、国有企業の民営化が望まれますが、その進展はなく、今後の国有企業改革に私は悲観的です。

 もっとも、国有企業改革が進むようであれば、中国経済の将来にその分、もっと楽観的になれます。逆に、民営企業に対して中国共産党が指導などの形で干渉を強めるようであれば、その分だけ悲観的にならざるを得ません。このように、中国経済の将来は、国有企業改革と民営企業の発展にかかっていると言えます。

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