何が「ローカル」か、もうはっきりしない

保護主義の台頭は、ESGの「Society=社会」をより重視する方向と読むこともできます。

大橋:保護主義なのかどうか分かりませんが、その重視する「社会」とはなんでしょうか。例えば安全を一つとっても、従業員の安全やサプライヤーの安全を守る活動は「G」であるガバナンスの一環でしょう。でも、関わる人全ての安全を守ることは社会を良くすることになる。

 社会っていうのは地域経済だけではないんです。人材育成や安全、ダイバーシティー…。様々なことが絡んでいます。保護主義というより、我々はこれまでも、地域に根差さなければやってこられなかった。だからずっと当たり前の話として「社会」を重視する活動はやってきたわけです。

 「社会」をより重視する方向と言いますが、これまでもずっと重視してきたんですよ。例えば、今や現地法人トップの80%が現地から登用しています。

コマツは2016年1月、トランプ米大統領から名指しで“口撃”されました。「日本が円安誘導しているから、私の友人は米キャタピラーではなくコマツの製品を買った」といった内容です。しかし、大橋社長はあまり悲観していないようです。米国で同業のジョイ・グローバルを買収したことは、米国の雇用を重視した結果ですか。

大橋:今や企業活動はグローバルです。「どこの国の企業」という考え方よりもグローバルで捉えるべきでしょう。コマツは日本の会社ですが、売上高の8割、従業員の6割が海外です。ジョイは米国企業ですが、売上高の5割、従業員の4割が米国外です。しかも両社とも世界中からモノを買っています。何がローカルかって、もはやはっきりしないんですよ。

 だからグローバルプレイヤーにとって、どこの国の企業かなんてあまり関係ないでしょう。ジョイについて、私は米国企業を買ったとは思っていません。グローバルプレイヤーを買って、これから一緒にグローバルな顧客向けにビジネスを続けていくということです。

トランプ氏の勝利は、米国民が「雇用を奪われていること」を真剣に受け止めた結果だと捉えることができます。大橋社長の考え方として、米国の雇用について、気にしすぎる必要はないと。

大橋:いやいや、私は社長として全てのことに気を使っていますよ。ただ、我々がジョイを買ったから米国の雇用がどうなるとか、そういうことでもないですし、自然体でやっていこうということです。

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【インタビュー後半のポイント】

  • ●「ESG」が世界の潮流。より強くなっていく
  • ●粛々とやるが投資家への発信も重視する
  • ●社長にとって「ESG」とは「対話」である