よりフェアな貿易に向けて関係の精査は望ましい

トランプ氏は選挙期間中から、環太平洋経済連携協定(TPP)からの離脱を表明するなど、グローバリゼーションの流れに逆行する態度を示しています。本当に楽観できるのでしょうか。

ポーター:米国はこれまで、一部の他国の政策に対して不利な状況にありました。例えば、中国に対してはそうでしょう。米国企業が中国に進出すると、中国は研究開発(R&D)を現地でやるように要求をしますが、しかし、それは世界貿易機関(WTO)加盟国としてルール違反です。

 中国はWTOに加盟していますが、そのルールを自国に都合がいいように解釈しています。一方、米国はこれまで、そうしたいくつかの問題で中国に対してモノ申すことには消極的でした。トランプ氏は、そうした中国問題の真実を理解していると思います。

 メキシコについては、中国ほどの問題があるとは思いません。ただし、おそらく、これから起きるであろうことは、こうした全ての貿易相手国との関係を再度、精査するということではないでしょうか。

 これは必ずしも悪いことではありません。私が期待するのは、貿易についての各国との合意が、より米国にとってフェアなものに見直されることです。中国との関係について言えば、知的所有権の問題などについて改善されることを望みます。

 これまで米国は経済的に他国より進んでいました。それゆえ、相手国よりも多く譲歩しなければならなかった。基本的に、米国は寛容だったのです。しかし、その状況はある程度、適正化に向かう必要があると思います。このリ・バランスは、国際貿易システムがよりフェアなものになるためには、いいことでしょう。

 日米の貿易関係について言えば、それほど大きなリスクはないと思います。平均的な米国市民は日本について怒りを感じてはいません。20年ほど前はそうだったかもしれませんが、今、日本企業は米国にとって主要な投資家です。米国にとって“良い市民”として認知されていますし、雇用についても配慮を怠りませんから。

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