包行:キャニコムはこれまでの山や畑で使う機械だけでなく、これからは海や川向けの製品を出そうと思っている。まず市場があるとにらんでいるのが川の中を掃除するロボットだよ。これから先はさ、林業人口も減ってきて、山林や河川の管理も行き届かなくなってくる地区が増えてくる。すると、川の中は流木がたまっていたり、流れてきた木が根を張っていたりするようになるんだ。その分、水の流れるところが狭くなる。

 そこへ豪雨が来たらどうなるか分かるよな。せき止めていた木やらゴミやらが大水で一気に流され、鉄砲水が起きてしまうのよ。2016年も鉄砲水によって全国各地で大きな被害が出ているよね。そこで川の中を自動的に掃除するロボットが必要なわけさ。国はダムとか堤防が決壊したら困るので、そこらの管理はしっかりやっているわけ。でもそこにつながっている川の中の管理は全然できていないのよ。

 今、開発陣にハッパをかけているところだけど、もう製品名は決まってるよ。さっき言った「川中みゆき」。それ以外にいい名前ある? ないでしょ。ネーミングを先に決めたら、どんな商品なのかイメージが出てくるやん。イメージがわいたらデザインはこうですかねとか機能はこんなのが必要とか議論が始まって、新商品開発が進む突破口になる。まあ実際できたら名前は「川中島みゆき」とか「中島みゆき」とかになるかもしれんけど。

キャニコムは中小企業ながら海外45カ国へ販売するグローバル企業でもあります。同規模の中小企業が同じように生き残るにはどうすればいいでしょうか。

包行:今はアフリカに進出しようとしているから、そこを抑えたら一気に50カ国増える。そしたら95カ国や!アフリカのセネガル出身の社員も2人おるし、ますます海外進出は進むやろう。それはそうと中小企業の生き残り策な。俺も色んなところでそのテーマで講演してくれって依頼がくるんやけど、そこでいつも話しているのは中小企業が生き残るためには「DNB」が不可欠ってこと。こう言うとみんな笑うんだけど、Dはデザイン、Nはネーミング、Bはブランディングのこと。

 これまで中小企業はこの三つをまったく考えず、上の企業の発注に従ってれば食っていけた。例えば自動車メーカーの部品を作る会社なら、メーカーの仕様に沿った部品を納めるだけだから商品のデザインなんて考える必要がなかった。ネーミングも車の名前は完成車のメーカーがつける。ブランドも相手のモノだった。それでやってきて立ち行かないなら逆をやるしかないってこと。

 キャニコムもまさにそれ。他社に依存して厳しい思いをしたから、DNBで自社製品を作ってきたわけよ。これまでおおよそ中小企業には関係のなかったこの3つがないと小さな企業は存続できない時代が来ている。そういや最近は、インドネシアでの現地のユーザーのぼやきをもとに開発した製品が売れている。スコールのせいで雨土がドロドロの「湿地帯」でも「安全」に走れる運搬車だよ。名前? 「安全湿地帯」。これがセンスというものだ。

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