トランプの当選も英国のEU離脱も東西冷戦の帰結

英国の欧州連合(EU)離脱も予想していました。グローバル化の枠組みが大きく変わりつつありますね。

 トランプの当選も英国のEU離脱も、グローバル化の枠組みが自国を利することがなく、外交、経済の本質ではないことに市民が気が付いたからだと思います。グローバルか反グローバルかという議論が起こっていますが、そういう話ではないんですよ。

 かつて、旧ソ連を中心とした共産主義国家にはコミンテルンという国際組織がありました。これこそが史上、最大とも言うべきグローバル組織でした。ですが、最終的にコミンテルンもソ連も崩壊した。その理由はこの巨大グローバル組織を維持できなくなったからなんです。

 私は弁証法を信じているんですよ。「対立する巨大な2つの力がある場合、どちらかが失われればもう一方も失われる」という考え方です。冷戦によってソ連を中心とするグローバル組織が崩壊しました。だから、米国を中心とするグローバル化もいずれは失われることになる。

 冷戦終了から時間がかかりましたが、ようやくその時が来た。西側のグローバル化はやっと終結したのです。それが、トランプの勝利であり、英国の国民投票でのEU離脱なのです。

トランプ氏は環太平洋経済連携協定(TPP)からの離脱を表明しています。日本への影響をどのように見ていますか。

 私は元々、TPPには懐疑的でした。多くの国が集まってああだ、こうだ話しても全くまとまりませんよ。仮に形になっても大変な苦労が伴い、結局、機能しなかったでしょう。その意味で、トランプがもし本当にTPPから離脱してTPP自体が破棄されることになれば、日本にとってはよかったと感謝すべき話ですよ。

 商売の話に戻すけど、取り引きは結局、1対1ですよ。人間もそう。異性を愛するのは最終的には1対1。もし、複数と取り引きしている、複数の異性を愛しているというなら、それは1対1の関係が数多くあるということに過ぎない。

 TPPで市場が大きくなるといっても、それだけで儲かるわけではない。市場が大きくなれば自動的に利益が増えることはないのに、そうした幻想がある。結婚にしたって、独身の女性が増えたからといって独身の男性が結婚しやすくなるわけじゃない。結局、相手に気に入ってもらう努力をしないと。

 複数の企業が業界団体を作ったり、なんとか協会みたいなものを作っても、そんなことでは儲からない。それと同じですよ。結局、他力に頼ってばかりでは企業は倒産する。TPPはいずれにしろ、破綻する運命にあると私は思います。