:泣く泣く諦める、それが当たり前でした。でもYさんのように「この10年間で大事なデータがHDDに溜まった」んです。諦めることなんてとても出来ない。ですから、これだけの金額をお支払いになる方も増えました。今はスマホがそうなりつつある状況です。

――あ、なるほど。

:だから、そこにつけこんで、取れる限り高いの料金を、と考える業者さんも出てくるんでしょう。

AOSリーガルテック取締役・菅野善之さん(以下菅野):そもそも、データ復旧サービスはリピーターがまず、いないんですよ。

――ということは、グルメサイトみたいなユーザー評価は蓄積されにくいのか。なぜでしょう。確率の問題ですか?

菅野:違います。痛い目に遭って、それ以後は用心するからです。

――あああ(頭を抱え込む)。

プロの防御方法は?

:Yさんはその後、どうやってますか?

――言うのも癪なんですけど、復旧をお願いしたA社の方に聞いてみたんです。「どうすればよかったんですかね」と。そうしたら「HDDは安くなりましたから、RAID(※)を組むよりも、素直に2つ別のHDDを買って、同じデータを保存した方がいいですよ」と言われて、それはもっともだな、と、ポータブルHDDを2台買ってダブリングしています。もしトラブルが出たら、出た方だけ買い換えるつもりです(※RAID=複数のHDDを1台のHDDとして扱い、記録を行う方式。高速性や冗長性を持たせることができる)。

:それはわるくない手ですよ。

菅野:ポータブルHDDは安くて大容量で便利なんですが、それをメディア代わりにしてため込んでいるカメラマンさんがいるんです。これはとても危ないです。

――菅野さんは、どんなふうに保存しているんですか。

菅野:子供の小さい頃の写真だけ、ネットのストレージと、HDDの多重化ですね。

:わたしはオタクっぽいですが、同じHDDに同じデータをいくつも保存しています。プラッターの違う部分に同じデータがあるわけで、救出確率が上がります。

――うわー、それはオタクっぽい。やってみたい。話を戻しますが、HDD修理の業界規模はどのようなものでしょうか。

菅野:弊社のような専門職、専用のオフィス、機材を揃えているところから、市販クラスの復旧ツールで個人がやっているところまで含めて300~400社くらいではないでしょうか。弊社のシェアはだいたい1割くらいかと思います。

――御社で年間2万件の相談があるとのことでしたが、そのうち実際に申しこむのは?