林:そこは、疑問というか不安を感じられるところでしょうね。業界的にも大きな課題です。というのは、やはりトラブルの内容が千差万別なんです。お客様のほうのご事情もこれまた千差万別です。お急ぎの方もいれば、そうでもない方もいる。正直言って、どうしても相対交渉になってしまう部分が残ります。
そんな中で、公明正大に行うにはどうしたらいいか、知恵を絞っているところです。我々にも若干は、ご相談できる部分はありますが、基本的にどなたでも同じ計算テーブルで算出した料金でご呈示します。お急ぎなら、特急料金で2割増しです。申し上げたとおり、業務提携パートナーの割引もあります。当社の条件は、ホームページで公開しています。
――納期は?
林:標準で2日ですね。特急の場合は、早い場合で数時間、となります。
――今回の事例では、仮に提携割引がなくて、媒体分を除くと、御社で20万円になりますね。ずばり、このHDDのトラブルで20万円という見積もりはどういうロジックで出てきたのでしょう。
林:今回の状況は、RAIDのHDDの2本のうち1本が、データを書き込む面であるプラッターが物理的に傷付いていて復旧不能でした。
――床に置いていたところに、妻が掃除機をぶつけたらしいです…。
林:ですが、同じデータがミラーリング(コピー)されているもう1本のHDDは軽い論理障害だったので、こちらからデータを完全に復旧できる、と判断して、あの見積もりになりました。ざっくり言えば、HDD上のデータは、プラッターさえ無事ならばだいたいなんとかなりますね。

――HDDのトラブルには、「物理障害」と「論理障害」があるんですね。
トラブルシューティングは切り分けから
林:はい、HDDのトラブルシューティングは、この2つの切り分けから始まります。ハードウェア的に故障しているのが物理障害、ハードは健全で、その上のシステム(ソフトウェア)に不具合があるのが論理障害です。当然ですが、まず物理障害のチェックから始めます。よく耳にされる「不良セクタ」などがこれですね。
――物理障害と論理障害の比率は?
林:60:40で、物理障害のほうが多いです。
――ハードの不具合が多いんですか。「HDDが故障したら、もういっさい何もしないで修理に出せ」と聞いたことがありますが、もしかしてそのためですか。
林:それもあります。たとえばハードディスクのヘッド部分が曲がっていたりすれば、電源を入れるだけで、プラッターをヘッドが擦って傷が付く可能性が増えます。極端に聞こえるかもしれませんが、たとえば、HDDを落っことしたら、本当は電源を入れないほうがいい。論理障害でも、起動のたびに上書きされる部分があるので、電源を入れることで復旧を難しくする可能性があります。USBメモリだって、リスクを避けるなら本当は抜き差ししない方がいいんです。
――なるほど。でも、思うのですが、データ復旧ってどこまで人手が、技術が必要なものなんでしょうか。復旧用のソフトをがーっと動かせば、それでなんとかなるものはなる、ある意味、とっても生産性のいいもの=お安くできるものなんじゃないか? と。
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