安彦:当初は、ハードウエアに詳しい私と、ソフトウエアに詳しい人間と、フォーマット関連に詳しい人間の3名で組織し、「青の部隊」と言うことで活動し始めました。そうしたら、社内から「自分もメンバーに入れてくれ」という人がありがたいことに続々と現れて、「Blu-ray友の会」として、協力してくれるようになりました。

「青の部隊」、小澤さとるのマンガみたいですね。

安彦:その結果、開発が順調に進んで、2006年6月に、VAIOが世界初の内蔵ブルーレイドライブを搭載したパソコンを出すことができたわけです。

それで「独りでできないときは仲間をつくる」と、なるほど。

安彦:単純ですけれど、でも、これは会社の中で何かをやるときの鉄則です。ほとんどの仕事は「やりたい」と言っても1人じゃできないんで、そのときにやるべきことは、「やらせてくれない」と文句を言うことじゃなくて、とにかく、やってくれそうな仲間を増やそうと。

うーん。つい、他人への文句に逃げたくなるところですけどね。

売れないなら、店員さんを仲間にしよう

安彦:それから、どうも思ったほどブルーレイ内蔵パソコンが売れない。ソニーだけが頑張ってもダメだろう、じゃあ、社外ともつながろう、と、大手のパソコンメーカー、ライティングソフトのメーカーに声をかけて「ブルーレイディスクアソシエーション(BDA)」の中に「ITプロモーショングループ」という組織を作りました。そこで「どうやったらブルーレイディスクが内蔵されているPCを購入してもらえるか」を考えて、売り場も含めて何かやろうと。

 そのときに気づいたのは「キーは店員さんだ。ならばまず店員さんに、やる気になってもらえるように、ブルーレイのうんちくを説明したくなるようなシカケを用意してあげるべきだろう」となりまして。

 具体的には、店員さん向けの資格をつくったんです。「ブルーレイディスク マイスタークイズ」というのをつくって、ネットで検定に挑戦できるようにしました。BDAの公認の資格なので、正解者には資格を名札にして着けられるようにして、トロフィーみたいなものも用意しました(現在のサイトはこちら)。2000人ぐらいの店員さんが登録してくれました。

すごいですね。人数もですが、ソニーがそこまでやったことが。

安彦:これである程度、店員さんの認知度は上がってうまくいったんですけど、せっかくサイトを作ったし、これでもっと広げたいなと思ったんです。そこで、サイトに来る人の分析をしていると、アニメが好きな人がこのサイトにすごく来ていることが分かりました。

なるほど、ブルーレイの高画質が欲しい、という人には、熱心なアニメファンが多いでしょうね。

安彦:じゃあ、アニメに関わるもので、かつブルーレイに関連したことは、と考えて、また仲間探しを始めまして。そこで2009年に始まったのが、「あなたの力でBD化プロジェクト」なんです。大好きな作品だけど、DVD止まりでブルーレイ化されていないものを、「出たら買うぞ」とメーカーに訴えて、出してもらおうぜ、と。これがとんでもなくバズりました。

「true tears」ってどんなアニメだっけ…

どんな作品がブルーレイになったのですか。

安彦:第一弾として成功したのは「true tears」です。その勢いで第2弾で「ゼーガペイン」をBD化しました。面白いのは、これらはDVDの売り上げが特段良かったタイトルではなかったことです。

でも、より高価なブルーレイは売れた。ということは。

安彦:「コアな部分に誠実に当たればビジネスになる」ということをこのとき感じました。たとえば「true tears」は、放映規模が東名阪と小さかったこともあったのか、DVDのセールスはあまり振るわずブルーレイディスク発売の予定はなかったのですが、BD化プロジェクトを経て、当初のDVDの売り上げをはるかにしのぐ数が売れました。

クラウドファンディングそのものですね。「ゼーガペイン」は聞いたことがありますが、「true tears」って…。

安彦:富山が舞台の。

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