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清水:これは、人工肉はすでにやっているところがいっぱいあるからですよ。インポッシブルフーズとか、サベージ・リバー、ってビヨンドミートですけど、肉に似せたベジーな肉、つまりビヨンドミートを一生懸命になってやっているので、今、うちがやっても何となく二番煎じにしか見えへんわなと。

 それは確かに。

清水:まだ議論の結論が出てないところなんだけど、肉にどんどん似せて、「肉のようだから食べる」というのが、本当にいいのかどうか、ね。人工肉的なものは必要だ、とは思いますよ。でも、大豆なんだから、豆なんだから、そのおいしさを食べればいいのであって、何も肉に似ていなきゃいけない理由は何もないわな、と。

 そう思うようになったちょっとしたきっかけが豆乳です。「牛乳に似せよう、似せよう」と思ってパッケージまで一緒にして、まずくなくなったことは事実だけど、牛乳にはならなかった。

 またそんな物言いを。

匂いのしない豆乳は何になるのか

清水:で、大手乳業メーカーの方と話していたら……豆乳って、独特の匂いがあるやないですか。

 はい。

清水:「清水さん、分かったんですよ!」「なんですか」「豆乳から大豆臭を全部取ると水になります!」って。

 え?

清水:豆乳から大豆臭を放つ成分を取って牛乳になるんやったら、大豆臭を取ったらええんですね。ところが、牛乳にはならんのよね。豆乳から大豆臭を取ったら水になるんよね。論理的に。

 ああ、大豆の匂いは、豆乳たる成分と不可分だということですか。

清水:だから、正しい答えは、豆乳からまずそうな大豆臭だけを取ればいいねんね。おいしそうな大豆臭は残したらいいねんね。

 なるほど。牛乳の匂いではないけれど、おいしい匂いはあるかもしれない。

清水:そうしないと、「牛乳にならないのに牛乳のまねしてどないすんねん」って話やね。そして一方で、世代の変化で味覚や嗅覚への認識も変わってきてます。今の若い人たち、ミレニアム以降の世代は、豆乳か、牛乳かということにあまりこだわらない。僕らの世代ぐらいまでは、豆乳は安もんとかね。大豆やんかとかね。そんな印象だけど、今の若い人たちはそういうことは考えない。「私ソイラテ」「私カフェラテ」って平気でやっている。あくまで好みの問題やと。

 ソイラテ、そういえばカフェで普通に飲まれてます。

清水:そやろ。カフェラテより50円も高いのにね。

 付加価値として認められるほどになっている。