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「根粒」でしたっけ、たしか、窒素目当てに大豆を畑に埋めることがありませんでしたか。他の植物を育てるために。

清水:そうそう。その通り。植物を育てるには、肥料として窒素、リン酸、カリウムをあげなければいけないんですけど、マメ科の植物だけは空気中の窒素を根粒バクテリアを使って定着することができるんですね。従って、やせた土地でも豆はできます、と、こうなるわけです。よう覚えてましたね。小麦を育てるためにマメ科の植物をすき込んだりするんですわ。「緑肥」といいます。

昔学習漫画で読んだ話が今、ぼうっとよみがえってきまして。ああ、だから大豆は土地を選ばずに生育できるんですね。

清水:そして、大豆は「神様が人間のためにくれた豆だ」と僕は考えていて。

火を使える生き物だけが手に入れられる……

……ここまでせっかくロジカルにお話しされたのに。

清水:いやいや、「また清水のホラ話が始まった」と言う人がいるから、ちょっと説明をしておくと、大豆には、トリプシンインヒビターという物質がたくさん入っていて、これは、ほ乳類が持つ「トリプシン」という消化酵素をインヒビター……インヒビットですから阻害する、消化酵素阻害因子です。どういうことか言いますと、人間が大豆をそのまま食べると消化できないでおなかをこわすんですよ。だから古今東西、人間は大豆を生のまま食えへんのです。

ん?

清水:じゃ、大豆、どうしたら食べれるねん言うたら、簡単にこのトリプシンインヒビターを失活、つまりその活性をなくす方法がある。加熱です。例えば、節分の豆は炒るだけです。枝豆だったら茹でるだけです。それだけで、全然、おなかをこわさないんです。これを話すと「何や、すごい簡単な話やんけ」ってみんな思うんやけど、炒るにも茹でるにも、何が必要ですか?

熱、というか……あ、火か?!

清水:そして、「火を使う動物って何やねん」と言ったら人間だけ。加熱なんて人間しかできませんわね。

なるほど、だから。

清水:だから大豆は「変な豆」なんです。神様が人間のためにつくった作物ちゃうかって思うわけです。より正確に言うと、根粒菌があり、トリプシンインヒビターを持つマメ科の植物は大豆以外にもいろいろある。ですけど、大豆は作付け面積当たりのタンパク質の生産効率が非常に高いんです。

 これはあくまで僕の考えで、反論もある。でも、僕はそう信じているわけです。人間の必須栄養素を、畑での栽培で安定・大量に採れる大豆、ここに食料の基本を置き直したらどうか? もう1回、地球の原点に戻ろうやという、「大豆ルネサンス」なんですよ。

それは、「牛や豚じゃなくて、植物からタンパク質を取ろう」という「ルネサンス」ですか?