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清水:コンビニが、というより、国が、市場が変化していくのに、不二製油グループ自体がいまのままでいたのでは、先行きがどんどん暗くなっていく。歴史観で見るとよく分かりますよね。

 先輩たちが作った、当時の「革新」のイメージとビジネスモデルには自ずと限界が来る。事実上の創業者で「不断の改革を断行せよ」と喝破した、西村正太郎氏は偉大だったけれど、その次の世代は、「成長する会社に付いていく」という、ほぼ同じビジネスモデルの中で場を変えていっただけ。中身は大きく変えずに、対象をシフトしただけだったんです。

でも、それはそろそろ……。

清水:そう、そろそろ本格的にもうまずい。このままでは、日本の国の消費が衰退すると同時に不二製油も衰退していく可能性がある。

日本の人口依存型のビジネスモデルを変えねばならない。これは我々全体の問題ですよね。でも、その中では御社は好調ですが。

清水:うちは後から来たからです。みんなが停滞しているときに伸びて、きゅっと大きくなった。

 証券アナリストの方から「不二製油ってすごくいい会社なのに、最近面白くない」とか言われるんです。僕の本音は「待ってくれ、もともと面白くないねん、あんまり」(笑)。せやけど、相手が振るわなくなったから目立っていったわけですね。遅れて出てきたから遅れて悪くなるだけやと思っているわけ、僕は。

うわあ(笑)。で、清水さんは歴史観に基づいて、何をしようとしているんですか。

「歴史観」は、実は経営層にはウケが悪い

清水:うん、でもね、先に言うておくと、「歴史観」というのは、会社の経営層からはたいてい受けが悪いんです。

 僕、何年か前の中計(中期計画)の発表会で、当時の役員からこう言われましたよ、マイクで。「清水さんの話は大変面白いですし、20年後の話も結構ですけど、でも、20年後に清水さんは、不二製油に居ますか」と。

う……。

清水:もちろん悪気で言っていないんですけどね。その発想ですよ。非常に地道で、真面目に言っているんですよ。私は文系の営業出身ですけど、我々の会社は基本、技術者の集団で、悪口に聞こえたらいかんけど、「自分でできないことまで言うな」という気持ちがとても強い。責任感がすごく高い。でも、それはものすごく分かるんだけど、そんなこと言うたら経営にならんのですよ。

 もちろん、100年200年後の話までは僕も言いません。でも、社外取締役の三品和広先生(神戸大学大学院経営学研究科教授)が「わたしは学生を卒業させて就職させる、たとえば不二製油なら不二製油に入れるときは、学生が定年になるころに幸せかどうかは考えます」と仰っている。つまり40年ですよ。22歳で入って60歳で出て行くまで。40年先に不二製油がどうなっているかくらい社長が答えてくれない会社は困るんですと。

40年ですか、さすがにちょっと長すぎる気もしますけれど。

清水:でも、それは言い得て妙ですよ。たとえば親だったら本音ではそう思いますよ。この子を不二製油に入れていいかしら。幸せになるかなと。本人は「ほっといてくれ」かもしらんけどね。

 そうすると、我々の場合は新しい成長曲線を持ってきて会社にいれていかないと、40年先の幸せな未来へは行けへん。じゃ、何をやるか。それが、M&Aと新規事業です。

具体的になにをされるのでしょう。例えば新規事業は。

清水:例えば大豆の分野です。

だいず……?

清水:大豆はね、オモロイんですよ。

(次回に続きます)