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清水:当時言われていた不二製油の弱点のひとつは後発のメーカーなので、販売チャネルが弱かったことです。

へえ、なぜなのでしょうか。品質ですか。

清水:いえ、質は決して劣らないと自負していますが、足りないのはマーケティングです。なぜなら、この業界で一流どころの会社、例えば「クリーム」と言えば●●であり◆◆であり、▲▲であり、マーガリンで言えば■■■■であり、★★であり、チョコレートで言えば……。

(有名無名のメーカー名が切れ目ナシで奔流のように出てくる。「これは芸だろうか」と、ぽかんとする)

清水:あれ? いやいや、すごい真面目にしゃべってるんですけど。「さすが不二製油のチョコレートや、油くさいで」とか言われたこともよくありました。

それはさすがに腹が立ちますね……。

清水:もちろん、そんなことはないんですよ(笑)。でも、長年愛されてきた一流品に比べたらどうしてもイメージは落ちるし、正直に言えば出だしは味で負けていたこともあった。うちは(味より)物性重視やったからね。

つまり、業界内では後発で、チャネルから「一流」と見てもらうのが難しい。それは、大手の食品メーカーの黒子としてリスクを回避して成長してきた代償でもある、ということですね。

清水:でもそんな中で、我々が頼りにしていたビッグブランドも、変調が始まるんですよ。人口の伸びが低下したからなんですね。2008年にピークアウトして。

胃袋が減っていく。あ、これはそれこそ歴史的な事象ですね。

清水:そう。そして業容が大きければ大きいほど、つまり我々が頼りにしたい力のあるブランドほど、理屈として、人口減と高齢化で胃袋の容積が減る影響が大きくなるわけです。当然、少しずつ減るわけですから、皆さん対策を打たれているわけですが。

コンビニに都合がいい会社だった

しかし、こうなると、業界全体が影響を受けるわけですから「勢いのあるところに付いていけ」とは言いにくくなりますよね。

清水:はい、どうしたもんやろと。そこに不死鳥のように現れてきたのが、コンビニエンスストアさんやったんやね。不二製油はここに次の「付いていく先」を見つけました。

コンビニというか、コンビニの自主MD商品ですね。

清水:そうです。こんどはコンビニという流通が、主権を持ってメーカーを使い始める時代が訪れました。コンビニのブランドでお菓子やパン、アイスなどを作るわけです。そのためには、食品に関するいろいろな技術を集めなきゃいけないんだけれど……。

自社ブランドが強いところほど、自分と競合する商品なんてやりたがらないはずで。

清水:都合のいい会社はどこや、と探しはったときに「ブランドはないけど技術者はようけおって、いろいろちょうどええ」というのが不二製油やったんやね。おかげで、コンビニがぐわーっと上がると、同時に不二製油もわーっと行くわけですよ。

 長い話になりましたけれど、つまり、我々は「こういう歴史」を経てきた会社なんだ、ということをよく理解してから、変化せねばならない理由や、方向を考えないとあきません。

そして、そのコンビニもいよいよ頭打ちか、と報じられたりしています。