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ハートに火をつけろ!

いや、すごくそれ、腑に落ちます。なるほど。

:だから、そこまで追い詰められてはいなかったんですよ、濱島は。

そしてあそこで完全に……その通りですね。いや、すごい。さすが岡さん。

:例えば会社員だったら、定年後に関連会社に行って、4年ぐらいいられたとしても、普通はその後、完全にアウトになるでしょう。

 流されてしまえば楽ですが、何かを始めるのがすごく難しくなっていく。自分で何かを始めるためには、予め人間関係をつくるでもいいし、資格を取るでもいいんだけど、年に関係なくそういうことをしていないと。それは「また次の人生を始めるんだ」という、もがく覚悟が必要だと思いますけど。

戦力外通告を突きつけられる自分も想像したくないけれど、だったら、自分でもがく覚悟ができるのか、と我が身を省みて思います。が、それでも、ラストシーンの濱島はとても魅力的でした。まさか競輪映画が会社員の自分にここまで刺さるとは思いませんでした。

:この映画はスポーツ映画でもありますよね。人はなぜスポーツを見るのか、大きな理由が2つあるんですけど。1つは、圧倒的なパフォーマンスを見たいというもの。いわば芸術作品を見るような、それだけで涙が出るような身体能力を見せつけられる喜びですね。例えばスーパーボウル、オリンピック、メジャーリーグ。

 もう1つは、選手ひとりひとりの物語。そのハイライトシーンとしてのこの現場。人生を読み込んで、物語として見る。これは、日本のプロ野球を見るとか、甲子園を見るとか。

甲子園はまさにそうですね。

:おそらく競輪はそっちのジャンルに属するんです。そもそも選手ひとりひとりの出身地が出ていますよね。僕は競輪ファンではないのでよくは分からないんですけど、競輪が好きな人って、試合と選手の中に物語を読んでいるんだと思うんです。

確かに。

:その2つの理由のどちらもあって僕はスポーツを見ますけれど、どっちが好きかといったら、甲子園の方が好きなんですよ(笑)。江口さんがこの映画でやろうとしたスポーツは明らかに後者の方ですよね。

なるほど、その文脈にうまくハマりますね。

:他にも面白いディティールはたくさんあるけれど、ネタバレになっても困るんでしょう、そばでも喰いに行かない?

いいですね(笑)。あとは見てのお楽しみということで。

映画「ガチ星」

主演俳優の安部賢一さん(普段はしゅっとしたイケメンでびっくり!)、江口監督へのインタビューは読み応えがあるものがいくつもあります。一部をご紹介しておきますので、ご興味が湧いたらぜひ。

●日刊サイゾー
『ガチ星』全国公開記念クロスインタビュー このドロ臭さは、「競輪版ロッキー」と呼びたい!! 『ガチ星』が生ぬるい邦画界に追込みを掛ける(こちら

●朝日新聞デジタル
俳優・安部賢一さん「主演が決まった時、号泣しました。これは僕の物語です」 映画『ガチ星』インタビュー(こちら

●シネマジャーナル
『ガチ星』江口カン監督 インタビュー(こちら

・映画「ガチ星」公式ホームページ