全6710文字

小田嶋:例えば恋人選びするときに、3人の中から選ぶとすごく狭いようだけど、じゃあ、50人の中から選べば、いい子を選べるのかという問題なわけですよ。選べるかもしれない。だけど、相思相愛になれたとして、下手すると49回失恋しなきゃいけない話になるでしょう。

Y:まあ、そうですね。

小田嶋:数を出せるから、落ちる会社も多くなる。じゃあなぜそんなに落ちなきゃいけないかというと、どこの企業も欲しがるような学生が50社も受けちゃうからですよね。我々の時代みたいに10月1日に解禁で、実際に面接を受ける人以外は履歴書を出さないというふうになっていれば、どんなに頑張ったって10月の第1週までに7つか8つですよ。そうなれば一番最優秀の生徒でも7つしか内定を取れないわけですよ。

Y:なるほど。無駄な競争が起こらない。

でも、あっという間に辞めました

小田嶋:そうそう。それで、企業の側も10月1日に来た子は自分のところを第1志望にしたんだと分かるから、だからある程度優遇するけど、10月2日とか3日に来たら、絶対、第一志望じゃないことは分かるから、「うちに何か用ですか」と。

Y:あはは。あれ、じゃ小田嶋さんも言われたでしょう。

小田嶋:そこで「実は指定学部制度を知らないでむなしく帰ってきました」と言って、ちょっと受けを取りました。

Y:ははあ。「情報があれば幸せかというと、そうでもないんじゃない?」みたいな話なんですかね。

小田嶋:そう。振られる子と、すごくモテて50人振る子とがいるわけだけど、でも、50人振ってうれしいのか。そういうわけでもないでしょう。会社だって、落とす人を増やしていいことがあるわけじゃない。

Y:一方でむやみに落とされたり、振られたりすると、自己否定に陥る危険はありますね。就職も恋愛もつまるところ相性ですから、落ちたり振られたりしても本来気に病むことじゃないんですけれど、数が重なるとダメージになりそう。

小田嶋:だから「出会いの数が多いほどいいんだ」という問題ではない。志望の会社に入れたら幸せか、というともちろんそれも違う。そもそも俺、そうして入った会社をあっという間に辞めてしまうわけですから。

Y:そう、問題は入社した後ですよね。そして小田嶋さんはお酒との付き合いに深く沈み込んでいくわけですが……。

(後編に続きます)



本格的に暖かくなり春も本格化、新年度の始まりです。この4月も、多くの学生が新入社員として羽ばたきます。大きな夢を抱きながら社会人としてスタートする一方で、同じぐらいに大きな不安を持っているはずです。そのような不安を少しでも解消すべく、NBOのコラムニストの皆様に、メッセージをいただきました。新入社員時代はどのようなアドバイスが身に染みたのか、そしてどのような心構えを持っているべきなのか――先輩の言葉をまとめました。

(「新入社員に送る言葉」記事一覧はこちらから)