川口:俺、自分の給料は、伊藤忠からコミックス・ウェーブ(CWFの前身、伊藤忠の子会社)に出向する前がたぶん一番良かったんですよ。実家住まいだし、駐車場もあって、調子こいてベンツのオープンに乗っていましたもん。思えば気楽な生活でした(笑)。

 独立したらお金がなくなって、ベンツも売りました。でもね、口はばったいけど、歩いて10分で六本木という土地で生まれて育ったので、いわゆる「お金持ち」になったらやりたくなるようなことって、もう興味ないんですよ。地元に本物のお金持ちがいっぱいいて、彼らは、ヒルズに住みたいとは思わない。ヒルズに土地を貸したり売ったりするほうだから(笑)。

なるほど。

お金は「ただ使う」だけでは面白くない

川口:代々寝ていても金が入ってくる人達は、もうフェラーリとか乗らない。地味なハイブリッドに乗っていたりします。つまりお金って、「ただ使う」分には、面白みがそれほどないんですよ、きっと。

 それより、信じたもの、僕の場合はそれがチーム新海だったのかな? に賭けて使う方がずっと面白いんです。個人の才能頼みだからもちろんリスクが大きいし、怖いですよ。でもそれは仕方ないし、そこに賭けたから、CWFが10年生き残れたんだと思います。

 ですので、今回、予想外に儲かった分で、たとえば日本のアニメーションをこれから支えていく才能や職人を育てていく会社を作れたら、とは思ってます。オールジャパンで、ちゃんと収益を上げられる制作会社を作り上げて「これで日本のアニメは大丈夫だ」と、言わせることができたら本望かな。

それはまさに「お金の面白い使い方」ですね。形が見えてきたら、お話を聞かせてください。ハリウッドのアカデミー賞も楽しみにしています。

川口:新海誠のレッドカーペット、本気ですからね。そんなにお待たせしないんじゃないかと思っていますよ!