ようこそ、ローポリゴンの世界へ!

 うわ…VRってこういうふうに見えるのか。お、モモ(ポストペットのメインキャラクター)がいる。撫でていいんですか…まさかお前にこうして会えるとはなあ。だっこは…あ、さすがに出来ないんですね。

VR空間の中で会うモモ。おかえり!
VR空間の中で会うモモ。おかえり!

八谷:これをやった方は十中八九、モモをだっこしようとしますね。なるべく早くだっこは実装したいと思ってます。

 膝の上くらいで、抱き上げたくなる高さなんでしょうね。

八谷:お子さんがいる方なら実感としてわかるでしょうけれど、子供の小さい頃の身長に設定してあります。4歳児くらいかな。自分の子を抱き上げた思い出があると、街中でもそこくらいの身長の子がいるとつい「だっこさせてくれませんか」…とは理性が止めて言わないけれど(笑)、本能的にはあるじゃないですか。

 おっさんが口に出したら社会的にNGですが、きゅんと来ますね。

八谷:だっこしたり、手からおやつをあげられる、とかも、機能として装備したいですね。

 あ、モモの部屋の家具や冷蔵庫ってこんなに小さいんだ。

ポストペットの世界に入り込んでみると、家具や冷蔵庫が思った以上に小さい。
ポストペットの世界に入り込んでみると、家具や冷蔵庫が思った以上に小さい。
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八谷:これはVRで作ってみて初めて実感として分かりました。「宝箱ちっちぇー! お、開けたいぞこの冷蔵庫!」と。中からはドット絵のおやつがでてくる。むしろドットがいいわ、と。

 現実の世界にペットたちが3Dになって出てくる、というのじゃなくて、キャラクターの世界に入り込んだ気分になりますね。

八谷:そう、やってみるまで面白いかどうか分からなかったんですけど、やってみたら「ローポリでも、いや、ローポリだからこそ、自分が世界に入った時の相性がいいな」と。

 現状ではVRソフトは、映画俳優みたいなルックスの3Dの人間が動くのも出ていますけど、ポストペットV3のポリゴンは2002年のPCで動かすのが前提の、小さなデータ量なんですね。だからリアルさはない。でも、別の世界に入ったときに、出てくるのが「よくできた人間」だと、かえって「らしくない」部分を探してしまって、「CGだ」としらけたりします。

 こっちのほうは最初からローポリゴンのキャラクターですから、違和感がない。欧米は、現実と同じリアル世界にどうやってユーザーを連れて行くか、で作っているけれど、ジョブシミュレーターやポストペットVRは、「自分がローポリの世界に行く」考え方なんです。

VRはゲームの魅力を蘇らせる

 そうなると、VR化で昔の作品に別の魅力が見えてきたりしませんか。

八谷:まさにそうです。ゲームで「セガラリー」や「スペースチャンネル5」などを手がけ、セガから独立された水口哲也さんが作った「Rez」(2001年発売)という、シューティングと音楽を合体させた名作がありますが、これが昨年10月に「Rez infinite」として、プレイステーションVR(以下PSVR)用にリメイクされました。シナスタジア(共感覚)スーツという特製スーツを着て体験させてもらったんですが、これがすばらしくて。

 シューティングと音楽の一体化というコンセプトは同じでも、平面のディスプレイを眺めるのではなくVRで「その世界に身体ごと入る体験」となると、音と自分のアクションがダイレクトにつながって、全然別物といっていいくらいです。Rezも初代は2001年くらいのゲームなのですが、それがVRでリメイクされることで、本質的なところが強調されるのでしょうね。コンテンツによっては、数十年前のソフトが蘇ることもありえると思います。

 話をポストペットVRに戻して、もうひとつ面白いのは、やっている人を外から見ると、これが案外愉快なんですよ。

 そうですか? じゃあ、カメラマンのOさん、ちょっとこれ付けてみてくれません?

カメラマンOさん:ええ? 僕がですか?

外から見るとこんな感じ(左)。VR空間内のイメージはこんな感じ(右)です。右の女性の前にいるのが、VR空間内でのユーザー本人となるキャラクター「アンノウン」。
外から見るとこんな感じ(左)。VR空間内のイメージはこんな感じ(右)です。右の女性の前にいるのが、VR空間内でのユーザー本人となるキャラクター「アンノウン」。

Oさん:おー、かわいいかわいい(けっこう夢中でモモを撫でている)

 なるほど、これはなんというか、外から見ると実におまぬけになってしまって、いいですね。

八谷:いいでしょう? 任天堂の「バーチャルボーイ」がそこまで流行らなかったのは、1人でVRゲームをする、という点にあったと思うのですが、最近のVRブームは、アトラクションとして皆で楽しむ、という方向に行ったのも大きいんじゃないかと思うんです。

 そういえば「カイクイライド」の時も、「ゴーグル付けて、ジョーバに乗って、扇風機の風を受けながらぎゃーぎゃー騒いでいる大人の男性」を見ているのは結構面白かったです。

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