国は30kg以下の小型魚については年間の漁獲数量に上限を設定しています。ですが、大型魚については、漁業者の自主管理があるだけです。これまで水産庁に対し、公的な管理を何度もお願いをしてきましたが、残念ながら実施には至っていません。

 クロマグロが絶滅危惧種に指定され、国際的な規制への議論が進む中、全面禁漁になるといった最悪の事態を避けるため、国は今のうちに産卵期の大型魚の漁獲管理を強化して資源量の回復に努めるべきだと切望してやみません。

資源保護と漁業の両立に苦慮する日本

 すしネタや刺し身で世界的に人気のある高級魚のクロマグロ。日本近海で取れる太平洋クロマグロは沖縄県の南西諸島から台湾東方沖、日本海南西部を産卵場とし、太平洋を広く回遊する。そのため、韓国、台湾、米国などの政府関係者や研究者を交えた国際会議で、漁獲規制など資源保護について議論している。

 国際科学機関の北太平洋まぐろ類国際科学委員会(ISC)は「太平洋クロマグロは漁業を開始する以前に比べ、2014年は2.6%まで資源が失われている」と推定。国際自然保護連合(IUCN)は太平洋クロマグロを絶滅危惧種に指定している。

 太平洋クロマグロの最大の漁獲国である日本は資源保護に向けた国際的な役割を期待されている。その一方で、国内の漁業関係者への配慮も必要で、これまで国際会議の動向をうかがいながら、国内の漁獲量を管理してきた経緯がある。

出所:農林水産省
出所:農林水産省

 日本におけるクロマグロの漁獲量は2008年以降、減少傾向にある。2011年から巻き網による30kg以下の小型魚の漁獲量で上限を設定。2015年からは2005~09年の平均実績に対して69%削減へと管理を強化した。資源自体が減少していると見られることに加え、上限を管理していることが漁獲量減少の要因だ。

 だが、これだけでは不十分だと訴える漁業関係者も少なくない。特に大型魚への規制も必要だとする声が高まっている。これに対して水産庁の担当者は「新たな規制を打ち出すのは漁業関係者の生計に影響することもあり、きちんとした科学的根拠が必要だ。さらには、日本だけではなく国際的な協調体制も構築しないといけない」と慎重な態度を崩さない。

 対策が後手に回れば確実に資源は枯渇する。資源保護と漁業の両立を国際協調の下に進めていく難しいかじ取りが、日本政府に求められている。

(日経ビジネス2016年9月19日号より転載)