異変が起きたのは2012年からです。ヨコワと呼ぶ6kg以下の小型のクロマグロの漁獲量が前年比で5分の1以下へと極端に減りました。その後は大型を含め全体的に漁獲量が激減し、2014年には壱岐市全体で23トンにまで落ち込みました。これはピーク時の2005年の358トンに比べ15分の1程度。それに伴って壱岐市勝本町の漁業組合の総売り上げも2005年度の10億4000万円から2014年度には8000万円へと急減しました。危機的な状況です。

 こうした中、2013年10月に私たちマグロ漁を専門とする漁業者を中心に「壱岐市マグロ資源を考える会」を立ち上げました。小型魚が姿を消しているのですから、まずは親魚に卵を産ませないといけない。そこで産卵期である夏の間、30kg以上の親魚について禁漁を決めたのです。2カ月の禁漁は並大抵のことではありません。2カ月分の収入は1隻当たり400万~500万円、豊漁のときは1000万円にもなりますから。

 そのため、禁漁に当たっては各漁業者の方に丁寧に説明に回りました。当然、反対の声も聞かれました。ですが、このまま取り続けたら、本当に枯渇してしまうかもしれない。「未来のため、今は我慢しなくてはいけない」との思いを伝え、禁漁を承諾してもらいました。

国が産卵魚の管理をすべきだ

 マグロは3年で30kg以上の大型となり一部が成熟して産卵を始めます。3年間、産卵期に禁漁すれば、多くの卵が生み出され、孵化した幼魚は成長して親魚となり産卵を始めるでしょう。減少を食い止め、増加に転じるよう願っています。

 ただ、禁漁は壱岐と対馬の漁業者だけが実施しても不十分です。クロマグロは日本近海だけではなく、太平洋の広い海域を回遊すると言われています。その中で沖縄県の南西諸島沖と日本海南西部が産卵場所として知られています。つまり、産卵場所全体について国が禁漁など厳しく漁獲規制をかけていかないと効果が見込めません。

 壱岐のマグロが取れなくなったのは環境要因もあるかもしれませんが、日本海でのほかの海域での巻き網漁による影響ではないかと私たちは考えています。巻き網でマグロをごっそり取っていくのですから、資源が減少するのも無理はありません。特に産卵期の親魚を大量に取ってしまっては、マグロが育たず個体数が減るのは明白です。