日本近海を中心に太平洋に広く生息する太平洋クロマグロ。資源量が減少し、保護、管理の強化が国際的に叫ばれるようになった。だが「現行の規制では不十分」と主張、自主禁漁に踏み切らざるを得なくなった。

[壱岐市マグロ資源を考える会会長] 中村 稔氏
1968年生まれ。中学校を卒業後、長崎県壱岐市で家業を継ぎ漁師となる。2000年ごろからマグロ漁専門となり、壱岐産クロマグロのブランド化などの活動を始める。2013年10月に「壱岐市マグロ資源を考える会」を発足、会長に就任。
クロマグロ禁漁の概要
壱岐市のクロマグロの漁獲量が2005年の358トンから2014年には23トンまで大幅に減少したことを受け、自主禁漁に踏み切った。七里ケ曽根と呼ばれる壱岐と対馬の中間の大陸棚周辺の漁場で、対馬市の漁業関係者も賛同し禁漁している。対象は30kg以上の産卵親魚で今年6月1日から7月31日まで。昨年から開始し来年も実施する予定。

 9月2日、太平洋クロマグロの資源管理を議論する国際会議「中西部太平洋まぐろ類委員会」の小委員会が閉幕しました。近年、クロマグロは以前のように漁獲できなくなっており、資源の減少を肌で感じています。国際的にも資源管理に対する要請が強まっている一方、日本政府がこれまでに実施している資源管理だけでは不十分です。

 「自分たちだけでもまず、行動すべきだ」。そういう思いからクロマグロの自主禁漁に踏み切りました。今年は6月1日から7月31日まで実施。昨年から開始し、来年も実施します。禁漁で当然、収入はなくなります。追い詰められた状況での苦渋の決断でした。

漁獲量が15分の1に激減

 長崎県壱岐市は日本海の壱岐島に位置します。漁業は沿岸漁業が主体で、もともとイカやブリなどの漁獲が中心ですが、2000年ごろから大型のクロマグロが漁獲できるようになりました。対馬との間にある七里ケ曽根と呼ばれる大陸棚周辺が漁場です。

 資源保護のため、網で一度に大量に漁獲してしまうのではなく、一本釣り漁業に特化。そして「壱岐産マグロ」やマグロ漁の中心漁港である勝本の名を取って「勝本一本釣りまぐろ」としてブランド化に努めてきました。そのかいあって東京・築地市場でも高い評価を得られるようになりました。

長崎県壱岐市の勝本漁港。クロマグロ一本釣りの拠点だ