今後は、そういったことを、(株主や取引先など)ステークホルダーの皆さんにどうご理解いただくか、ということも考えていかなければなりません。

国交省・消防庁が倉庫防災の新たな指針

 アスクルの倉庫火災を受け、埼玉県警と消防などは3月1日から合同の調査を開始している。出火箇所は端材室(廃ダンボール置き場)である可能性が高く、「搬出作業をしていたフォークリフトのタイヤが段ボールの上で空転し、煙が出た」という外部委託業者の作業員の証言もあるが、6月16日時点で県警、消防ともに原因を公表していない。

 異例の大規模火災であることから、消防庁は鎮圧翌日の2月23日から長官判断による「長官調査」に乗り出した。一方、県警は4月7日、消防法違反の疑いでアスクルの本社などを家宅捜索した。防火シャッターなど防火設備の不備はないもようだが、「消毒液」など一部の保管商品について、消防法が義務付けている危険物に当たり、市町村長の許可を受けていなかった疑いがある。

 また、3月14日には国土交通省と消防庁が倉庫防火対策の検討会を設置。3月から5月にかけて3回開催された会議によると、三芳町のアスクル倉庫火災では、防火シャッターの約6割が未作動、あるいは閉鎖障害で遮断できていなかったという。

 その原因として、感知器と防火シャッターをつなぐ伝送線が火災の熱でショートした結果、防火設備全体の機能が喪失したことが想定されるとしている。また、ベルトコンベヤーは防火シャッターの閉鎖を阻害しない設計となっていたが、上記の理由で適切に稼働しなかったため、一部区画で閉鎖障害となっていたとした。

見直される大規模倉庫の防災対策

 その他、資料では、回線や制御盤などが耐熱仕様ではなかったため伝送線からの信号を適切に受信できなかった、予備電源が備えられていなかったため停電によりコンベヤーの可動部分が作動しなかった、とも指摘されている。

 鎮火まで12日と長期化した要因については、焼損が激しかった2階、3階部分の消火活動について、煙の充満、大量の荷物、鉄製ドアの施錠などで侵入できず、民間重機による開口作業に時間がかかったことなどを挙げた。また隣接家屋がなく、延焼の恐れがなかったため、「燃え尽きを待った」(関係者)という要因もあるようだ。

 こうした調査を踏まえ、検討会では大規模倉庫の防災について、中央部のスプリンクラー設置や、消防隊の進入経路確保、外壁破壊や水利に関する地元業者との協定、といった対策案を示している。

 検討会は6月21日に報告書を取りまとめ、大規模倉庫の防災に関する新たな基準への指針としたい考え。倉庫の防災基準が見直されれば、設備投資など倉庫業者の新たな負担が増えるため、一部の事業者から反発を招く可能性もある。