そうした努力のかいもあり、法人向けのアスクル事業については、災害前の水準に完全に復旧しております。個人向けのロハコ事業では、東日本地域に配送する注文を、午後6時から遅くとも午前0時まで、というように制限していたのですが、5月9日にはその制限を解除することもできました。

 ただし、我々も時間がかかって本当に悔しく、非常に歯がゆい気持ちなのですが、ご購入いただける商品点数の復旧などを含めた完全な復活というのは今年9月末までかかる見込みです。そこを目指し、日高センターの機械化などを一生懸命、進めている状況です。

9月末までの完全復旧を目指す
●火災による出荷能力の推移と復旧計画
出所:アスクルの決算資料より

 同時に当然のことながら、二度と同じような災害を繰り返さないよう、日高を含む全国の物流センターの防災対策を見直し、強化している最中です。3月14日には社内に「再発防止委員会」を立ち上げ、既に全ての物流センターの防火シャッターの電気系統や動作の確認などを済ませております。

 火災の原因や延焼が長引いた理由の詳細などについては、申し訳ありませんが、現在、消防庁を中心とする調査が進んでいる最中であり、当社からはコメントすることができない状況です(5ページ末尾の囲み記事を参照)。

 ただ、調査に全面的に協力をさせていただく過程でご一緒することで、大規模な物流センターの様々な課題も見えてきました。それを踏まえ、近日中に新たな設備基準の指針が公表されるとも聞いております。我々が先頭を切り、その新たな基準の防災を実践していきたいと思っています。

地域への意識が大きく変わった

 さらに、日高市に新しい物流センターができましたが、そちらで大規模な消防訓練を6月15日に実施したところです。広域の消防訓練を一緒にやりましょうということで、市長さんにもご来場いただき、はしご車の放水もしていただきました。

 高麗神社という、大変に歴史のある地元の神社の神主さんに日高センターへ来ていただき、安全祈願祭もやりました。日ごろから地域の皆さんとコミュニケーションをとり、信頼関係を作って、地域の安全・安心を守る。それが、地域に対する責任だという思いを、新たにしているところです。

 この、地域への意識というのは、火災を機に、大きく変わりました。三芳町の方々に教えられたのです。

 三芳町の物流センターの周辺はもともと、江戸時代の柳沢吉保が手掛けた「三富新田」という歴史ある開拓農地なんですね。地域の方とお話をするうちに、そういう歴史や文化に触れることもでき、この地域に自分たちがどう貢献できるのか、という意識が、初めて深く芽生えました。