今年2月、埼玉県三芳町にあるアスクルの巨大物流倉庫で火災が発生、鎮火まで12日を要した。大規模化が進むネット通販の物流センター。新たな課題を露呈し、国は基準の見直しを進める。対策の陣頭指揮を執った岩田社長が火災後、初のロングインタビューに応じ、覚悟を語った。

(日経ビジネス2017年6月26日号より転載)

[アスクル社長]岩田彰一郎氏
1950年8月大阪府生まれ。73年3月慶応義塾大学商学部を卒業、ライオン油脂(現ライオン)に入社。86年3月プラスに入社、92年5月アスクル事業推進室長、95年11月アスクル事業部長。97年3月プラスがアスクル事業を独立させたのに伴いアスクル社長に就任。2012年4月ヤフーとの業務資本提携を実現。(写真=稲垣 純也)
アスクル倉庫火災の概要
今年2月、アスクル全体の22%、個人向け事業「ロハコ」の62%の出荷量を担う埼玉県三芳町の物流倉庫「アスクルロジパーク首都圏」で火災が発生。鎮圧まで6日、鎮火まで12日を要し、延べ床面積約7万2000平方メートルのうち約4万5000平方メートルが焼損した。外部業者のフォークリフトのゴムタイヤの空転が出火原因とされるが、現在も消防などの調査が進行中。
火災が長引いた埼玉県三芳町の「アスクルロジパーク首都圏」。発生から6日後の今年2月22日にようやく鎮圧状態となった(写真=共同通信社/アマナイメージズ)

 今年2月、埼玉県三芳町にある当社の物流倉庫「アスクルロジパーク首都圏」で大規模な火災がありました。火災の発生から鎮圧まで6日、完全な鎮火まで12日もかかってしまったことで、近隣地域や社会に対して大変なご心配をおかけし、本当に申し訳なかったと思っております。

 また、個人向けのネット通販事業「ロハコ」の62%の出荷を担っていた主力の物流センターが突然、止まってしまったということで、特に個人のお客様、そして取引先をはじめとするあらゆるステークホルダーの皆さまにもご心配とご迷惑をおかけしました。改めて、おわびを申し上げます。

火災発生から鎮火まで12日と長期化
●アスクル倉庫火災関連の主な経緯

 2月16日の午前9時過ぎに火災が発生したとの現場からの第一報を聞き、すぐに事態の重さを認識しました。現地に取締役を派遣するとともに、社員を集め、「想定外のことが起きて非常に驚いているけれど、我々は周辺の住民の方々にとっては加害者なんだ。火災の被害者だと思ってはいけない」というようなことを話しました。

 それから対策本部を作り、本社のBCP(事業継続計画)チームと現地の対策チームの2つに分けて動きました。