無添加をウリにしていたせっけんに防腐剤が入っていたことが判明。メーカーのアルマダは合計26万個の回収をせざるを得なくなった。混入の原因は製造委託先が無断で防腐剤を入れたためだった。

[アルマダ社長] 三浦陽成氏 
[みうら・あきなり]1975年広島県生まれ。大学卒業後、インテリジェンスや人材派遣会社を経て、2002年にアルマダを設立し、社長就任。当初の業務内容は広告制作だったが、業態を変え美容サロン向けのシャンプーやトリートメントの製造販売を手掛けるようになる。
せっけん回収の概要
美容サロン向けの化粧品販売を手掛けるアルマダが2016年5月17日、「海の石けん」の回収を発表した。理由は防腐剤など無添加のはずの商品に防腐剤「フェノキシエタノール」が添加されていたことが分かったため。せっけんが腐敗して返品などになるのを嫌がった製造委託会社が独断で混入した。回収対象は80g入りが18万個、試供品の20g入りが8万個の計26万個になる。

 「海の石けん」は肌の弱い方でもせっけんを使う際にひりひりすることが少なくなるようにと開発した商品でした。もずくから抽出したフコイダンという天然成分を原材料にするなど無添加にこだわっていました。

 買ってくださるお客様もアトピーや手荒れなど肌のトラブルで苦しんでいる方が中心です。お子様、お孫様の肌を何とかしてあげたいという方も多かった。普通のせっけんを選ぶのではなく、1個2500円するせっけんを選ぶお客様は、肌に優しいものを使いたいという意図を持って買ってくださる方ばかりでした。それだけに今回の防腐剤が入っていたことは大変申し訳ないと考えています。

 幸いにも現状では健康被害が出たという報告はありませんが、販売した我々に責任があることは間違いありません。どのような経緯だったのか、この場を借りてお伝えします。

製造委託先が防腐剤混入

 海の石けんは埼玉県にある化粧品会社へ製造を委託していました。その会社から5月10日に連絡が来ました。その内容は信じられないものでした。「社内調査の結果、せっけんの製造工程で防腐剤を入れていたことが判明した」というのです。

 なぜこのタイミングで判明したのか聞くと、先方の会社は株式上場の準備に入っており、上場に備えてあらゆるリスクを洗い出している中で見つかったとのことでした。

 報告を受けた時は背筋が寒くなりました。回収の呼びかけや返金手続きなどお客様への対応をどうしようか。防腐剤が入っているならばうちのせっけんを買う必要はありません。信用をなくしブランドが傷ついた商品の今後はどうなるのか。そもそも会社は存続していけるのかなどいろいろなことが頭を駆け巡りました。

 まずは回収の届け出を自治体に出さねばなりませんので、原因を詳細に把握する必要がありました。製造委託会社になぜフェノキシエタノールが混入したのか調査をお願いしたところ、人為的なものと分かりました。