浜名湖の夏の風物詩として知られるアサリの潮干狩りが中止になった。 毎年不足分を購入して補っていたが、全国的なアサリ不漁で確保が困難に。 主催の浜名漁業協同組合は、アサリが少ない状況下では不誠実だとして実施を断念した。

浜名湖における2016年シーズンの潮干狩りは中止することにしました。潮干狩りに必要なアサリが不足しているためです。楽しみにしてくださっていた方が多いと思います。大変申し訳ございませんでした。
大勢の方が浜名湖を訪れてくだされば、飲食店やお土産物店、旅館など観光業が潤います。それがなくなると厳しい状況に陥る地元の方がいることも理解しています。実際に「アサリが少なくても潮干狩りを開催すればいいじゃないか」。そんな声もありました。
しかし苦渋の決断で中止にしました。浜名湖の潮干狩りは船着き場から船に乗ってもらい、潮干狩りができる浅瀬近くまで移動します。この船賃の一部が潮干狩り費用になっています。
関東や関西など遠くから来てくださって、さらにお金を払っていただいてほとんどアサリが取れない。こんな状況になると、長い将来を考えたときにかえって浜名湖の潮干狩りの評判を落とすと思うからです。
1日4トンを購入して補充
潮干狩り場のアサリは1日でその大半が取りつくされてしまいます。4000人が1人1kg取ったとしても1日で4トンがなくなる計算になります。浜名湖の漁師が湖の別の場所で取ったアサリを多い日で4トン漁協で買い上げて、潮干狩り場にそのアサリをまいて補充するということを毎日やっていました。
ただ、年々アサリの漁獲量が減っていることが大きく影響しました。補充したアサリを狙って、クロダイやほかの貝が満潮時にやって来て食べてしまうのです。浜名湖のほかの場所にもアサリが豊富であれば来ないのでしょうが、エサが周りになく、この潮干狩り場には豊富にエサがあることをクロダイたちは覚えてしまっていました。
漁獲量の減少は、アサリの買い上げにも影響しました。「先約があって潮干狩り用にはまわせない」と断られるケースが増えていました。漁師や仲買人は料亭やスーパーと一定量を納入する取り決めをかわしています。約束が守れないと違約金が発生するためにそちらを優先せざるを得ない状況でした。
アサリの減少は乱獲したからではないのかと言われることがありますが、そんなことはありません。以前は無制限だった時期もありましたが、もう長い間1人の漁業者が取っていい量を1日120kgに規制し、昨年には66kgとより厳しくしていたぐらいです。
ほかにも漁協でアサリを食べてしまうツメタガイという貝を取り除くために船を出して、貝やその卵を月に1回1トン以上を駆除しています。ほぼもうからない養殖ノリも漁協のメンバーに無理を言って育ててもらっています。これは養殖ノリがいる下の砂地はアサリの稚貝が育ちやすい環境なためです。全国的にアサリの漁獲量は減っていますが、浜名湖は全国的な減少度合いよりも少なく済んでいるほどです。
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