ドラマ「北の国から」のロケ地として全国にその名が知られる北海道富良野市。最近では富良野で演劇を学んだ山下澄人さんの小説『しんせかい』が芥川賞に選ばれ話題になった。そんな富良野で地方創生の拠点となり、多くの観光客を集めた資料館が昨年、閉館した。


北海道富良野市で木材会社を営んでいます。市内にある広大な東京大学の演習林の木を伐倒して、麓郷地区にある作業所で加工してきました。
昨年、私は苦渋の決断をしました。1995年の開館以来、私財を投じて運営してきた「北の国から資料館」の閉館を決め8月31日に営業を終えたのです。ファンのため、スタッフや地元の方のため、そして何より脚本家の倉本聰先生とドラマに関する貴重な資料を後世に残すため努力してきましたが、最後は力尽きました。
来場者数が減り赤字続き
「北の国から」は倉本先生が脚本を手掛け、81年にフジテレビ系列で放送を開始した人気ドラマです。半年の連続ドラマ放送の後、8回のスペシャル版が制作されました。田中邦衛さん演じる主人公の五郎が2人の子と東京から故郷の富良野に移り住む物語です。
テレビドラマとしては異例な現地ロケ主体で、映画並みの予算をかけた作品でした。そのため、地元にも多くのロケ地があり、五郎一家が過ごした家などのセットも残されています。
写真パネルや小道具、衣装など貴重な資料も数多くありました。これら約500点を集め、展示したのが北の国から資料館です。
ドラマが始まる前の富良野は冬場のスキー客以外、ほとんど観光客が来ない場所でした。旅館や民宿、ペンションも冬だけの営業で、夏場などは閉めているありさまでした。
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