いろいろと手を尽くして、最終的に仲介業者の協力を得て、韓国への販売データを提供してもらい、販売価格の基準値を決めることができました。話し合いを始めて既に数カ月が過ぎていました。

 ホヤは年中、水揚げが可能ですが、ピークは毎年6月です。そこに向けて東電との協議を続け、補償の見通しがなんとか立ったことから昨年6月、その年に水揚げするホヤの内、過剰分を廃棄する決定を漁協としてしました。

 1万3000トンの内、例年、国内には約4000トンが出荷されるので、廃棄対象は約9000トンと試算しました。これだけの量のホヤを廃棄するのは一筋縄ではいきません。かなりの苦労がありました。最初は肥料にしたり、畜産や養殖の餌にしたりできないか方法を検討しました。そのまま捨てるより何か活用できないかと考えたからです。

 受け入れてもらえる業者を探し話し合いをしました。ところが、処理の方法や採算性の問題で実現は難しいことが分かりました。そうなると焼却処分するしかありませんが、塩分が強いことなどから一般の焼却施設では処理できないことが判明しました。対応できる業者を探し、昨年8月、宮城県外でようやく焼却可能な場所を見つけました。場所が限られることから大量には焼却ができず、処分し終わるまで今年1月までかかってしまいました。

禁輸が解けなければ今年も大量廃棄に

 廃棄には数億円の費用がかかりました。焼却費用だけでなく、焼却を待っている間の冷凍保管費用や運搬費なども必要になりますから。

 ホヤは韓国で刺し身やキムチの具材として人気があります。震災前は韓国での需要が拡大しているため販売業者から増産の依頼を受けていたほどです。その韓国向けの販売が止まったため、今は国内向けの販売に力を入れています。薫製や酒蒸しなど新たな加工食品のアイデアを出し合って商品を開発し、販売量や販路の拡大に努めました。

 その結果、昨年は5500トンまで国内販売を伸ばすことができ、処理した過剰分を7600トンまで抑えられました。ですが、韓国への輸出分をさらに国内向けに切り替えて販売することは、とても困難で限界があります。

 一方、カキやホタテなど別の種類の養殖に転換するのは漁業者にとっては難しく、換えるにしても時間と費用がかかります。補償があるとはいえ漁業者の生活にも影響が出始めています。

 今年もホヤの水揚げがあります。韓国の禁輸が続けば再度、大量に廃棄せざるを得ません。高齢の漁業者はこれを機に廃業する可能性もあります。引き続き、打開策を模索していかなければなりません。