輸出再開のめど立たず

 廃棄したのは7600トンと大量でした。なぜ、こんな事態になってしまったのか。それは、2013年9月、宮城県産ホヤの最大の売り先である韓国が宮城や岩手、福島、茨城など8県の水産物に対して輸入を全面的に禁止したことが原因でした。

 東京電力福島第1原子力発電所事故による汚染水流出問題に対する措置で現在も禁輸は解かれていません。韓国への輸出は宮城県産ホヤ全体の水揚げ量の7~8割を占めます。それが全面的に販売できなくなってしまったのですから、生産過剰となり処分するしかなかったのです。

 ホヤは養殖を始めて3年目に水揚げをするのが基本です。震災後に養殖を再開したホヤは2015年に3年目を迎えました。しかし、韓国へ輸出できないことから多くは水揚げをせず、2016年に繰り越し4年目を迎えました。また、2016年に3年目となるホヤもあります。こうして昨年、約1万3000トン分のホヤが水揚げを待つ状態になりました。

 一方、韓国側が禁輸措置を解くかどうかについては水産庁、外務省、韓国領事館など関連機関に働きかけ、情報を集めていますが状況は芳しくない。2015年、日本政府は輸入禁止を見直すよう世界貿易機関(WTO)に提訴していますが、規制は解かれていません。

 ホヤの輸出を手掛ける仲介業者の中には「少なくとも韓国の政権が変わるまでは禁輸は続くだろう」と見る人もいます。いずれにしろ、これ以上、ホヤの水揚げを繰り越すことはできませんでした。

 ホヤは4年以上、成長すると重さでほとんどが養殖場から海中へ落ちてしまいます。そうなると漁業環境が汚染されることになりますし、網を破るなど他の漁業にも悪影響を及ぼす可能性もあります。水揚げをしないと新たにホヤの種付けをすることもできません。どうしても陸上に揚げて廃棄処理する必要がありました。

 ホヤの養殖は宮城県全体で漁業者400人程度が関わり、合計で年間10億~15億円程度を売り上げる産業だけに、補償がなければ廃棄できません。

東京電力に補償求める

 廃棄については2015年から検討を始めました。同時に、韓国の禁輸措置の要因となった原発からの汚染水流出問題を起こした東京電力とも補償について話を始めました。

 補償額を決める上で過去の販売データは欠かせません。ですが、そのデータの多くが震災で失われ残っていませんでした。また震災前は漁業者個人が輸出仲介業者と直接取引をすることが多く、宮城県漁協としてまとまったデータを持っていません。そのため協議が進みませんでした。

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