東京都は「適正な処分」と説明

 猫カフェに対する登録取り消しの行政処分は今回が全国初の事例となる。ペットブームが隆盛を迎えるなか、行政側が事業者にどのように指導を徹底し、動物たちの飼育環境やサービス環境を良くしていくべきかという課題が浮き彫りになった。

 指導内容や処分までの経緯が不透明と主張するねこのての成瀬氏に対し、東京都は「あくまで適正に指導・処分を行った」との立場だ。担当する福祉保健局健康安全部の原口直美・環境衛生事業推進担当課長は「度重なる指導でも改善が見られず、事業者として順守すべき基準が守られていなかった」と説明する。

東京・JR錦糸町駅近くにある「ねこのて」の店舗。猫カフェとして営業していた頃は猫の販売や一時預かりなどのサービスも展開していたという
東京・JR錦糸町駅近くにある「ねこのて」の店舗。猫カフェとして営業していた頃は猫の販売や一時預かりなどのサービスも展開していたという

 原口担当課長によると、ねこのてに関しては2015年11月頃から悪臭への苦情や、「猫の飼育状況が悪いようだ」などの情報が来店客を中心に多く寄せられていたという。都ではこうした情報が寄せられた場合、個別指導や立ち入り検査などを動物愛護相談センターの担当者が行うことになっている。

 同年12月に実施した検査の結果、風邪が蔓延していたり申請数を超える数の猫が飼育されていたりした点を問題視した。

 都ではねこのてに対し、今年1月8日にまず改善勧告を行い、具体的な指導に入った。その後も期限となる2月6日まで改善が見られなかったとして2月26日に改善命令を出し、4月21日に30日間の業務停止処分。最終的に6月16日に第一種動物取扱業登録を取り消す事態となった。

 現状では指導の内容や透明性に異を唱える成瀬氏の主張と都の説明には隔たりもある。一連の動きのなかでは、都の担当者と店舗側の間で十分なコミュニケーションが図られていたのかも不透明だ。法律に定められた基準を守ることはサービスを提供する事業者は当然求められるが、今後同様の問題が起こる可能性もある。

 原口担当課長は「都としては個別の監督や指導だけでなく、事業者向けの研修会なども通じ法令順守を徹底させていきたい」と強調する。行政側、事業者側ともに今回の問題を特殊事例と捉えるのではなく、動物の飼育環境やサービス提供に関するあり方を考える必要があるのではないだろうか。

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