基準値を勝手に変更

 軽自動車検査協会の車検場にあるブレーキ性能をテストする検査装置。<br>装置の上にクルマを移動させ計測する
軽自動車検査協会の車検場にあるブレーキ性能をテストする検査装置。
装置の上にクルマを移動させ計測する

 不適切な判定値があった試験項目は主にブレーキ性能に関わるものの4つでした。制御力で適合基準がありますが、その値が緩かったのです。

 その一つに主ブレーキ制動力の総和があります。これはkg当たりのN(ニュートン)という単位で表します。本来、判定値を4.9N/kg以上に設定すべきところを3.92N/kg以上に設定していた不備がありました。数値が小さいと制御力が低下し、停止距離に影響が出る可能性があります。

 なぜ、このような数値に置き換わったのか。考えられるのは3.92N/kg以上が雨天時の設定値であり、晴天になれば本来4.9N/kg以上へと設定値を戻すべきだったのに、下げたまま変更しなかったことです。車検は屋内で実施しますが、雨天時に外部から来たクルマはタイヤが濡れて湿っている。ブレーキの利きも晴天時よりも悪くなることから、雨天時の基準値を設けています。その切り替えで人為的なミスがありました。

 ただし、検査において数値を変更するのはこのケースだけですので、これ以外の設定ミスについては理由が判然としません。数値を人為的に変えたことは明らかですが、その数値に根拠が見られない。いつ、誰がどのような意図で変えたのか、職員を現地に派遣して調査をしたのですが、力及ばず原因がつかめていないのが現状です。

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