魚粉の市場価格が高騰

 ただ一方で、魚アラの価格自体はここ30年間で高騰しています。

公社が製造した魚粉。植物の肥料としても人気がある

 県内で出た魚アラをキロあたり、1円で買い取って魚粉にします。マグロなど良質なアラは報奨金として3円ほど割り増して買い取っています。そうやって加工した魚粉は30年前はキロあたり50円ほどでした。が、現在は約100円にまで上がっています。

 これは一見、良い環境変化に見えますが、公社にとっては必ずしもそうではありませんでした。民間企業が商機を見いだし、魚粉を製造するために魚アラを集め出したからです。中には全国規模で展開する事業者さんもおられ、聞くところによると、我々の買取価格の倍ほどの値段で引き取っているとのことでした。

 魚粉は均質なほど良いとされています。そのため大量に魚アラを仕入れて製造するのが最も良いのです。大手は1回あたり50トンの魚粉を作れると聞いています。我々は4トンほどですから太刀打ちできません。

 こうした民間企業が事業を拡大するにつれて、我々に持ち込まれる魚アラも減ってきました。2002年には1万2000トンほど処理していましたが、いまや3500トンほどです。現状の水準では赤字を出してしまいます。

 減ってしまった分の魚アラを確保するために他府県から受け入れるという手もありました。ですが、中部地区の近隣から魚アラを集めるにも法の壁があったのです。

 例えば岐阜市は魚アラを一般廃棄物に分類しています。この場合、市がごみとして回収しなければなりません。一方、三重県は産業廃棄物ととらえています。産廃は許可を得た業者と車両が取り扱わなければならず、我々の施設はそのような届け出をしていません。産廃になると我々がお金をもらわなければならず、正反対の仕組みになってしまいます。

 そもそも愛知県と名古屋市などが出資していますので、他県との連携は厳密には設立の趣旨にも反します。民業圧迫をしても仕方がありませんので、「公社の役割を果たし終えた」という結論に至りました。

 来年1月末で受け入れをやめると宣言することで、市場関係者の方々も準備していただけると思っています。後を引き継いでくれそうな民間業者には、排出者が今までと同じように処理できるようにお願いしています。

 今回の決断において、私自身、県庁で財務や健康支援政策分野が長く、この事業に対して固執しなかったのもよかったのかもしれません。県や市の財源には限りがあります。1円でも有効に活用できるように考えるのが行政マンの務めです。

 医療、介護や育児の分野はまだまだ財源が必要です。公社が果たさなくてもよい事業は、スパッとやめて次の事業に取り組むべきだと考えています。