ですが、工場の稼働率が下がったことから人材難どころではなくなり、急遽、計画を中止しました。

函館漁港に停泊するイカ釣り漁船。2016年はスルメイカが記録的な不漁だった(写真=共同通信)
函館漁港に停泊するイカ釣り漁船。2016年はスルメイカが記録的な不漁だった(写真=共同通信)

 また、16年から小型のイカ釣り船を購入して自社で漁業を開始しました。安定的に原料を確保することに加え、ゆくゆくは水産業の6次化にチャレンジするつもりでした。今後も小型船を買い進めようと考えていましたが、これも昨年の不漁を受けて、様子を見ることにしました。

「イカの街」が裏目に

 今後も不漁が続けば海外からの輸入に対する政策の見直しも必要になるでしょう。政府はスルメイカの輸入量を年間7万4950トンに設定しています。しかし、加工業者が必要な実際のトン数と国内の漁獲量とを考えると十数万トンまで広げてもいいと考えています。その程度なら国内の漁業者の方々にも迷惑がかかることはないと思います。

 もう一つ、政府にお願いしたいのがロシア海域のイカを日本に輸入することです。地球温暖化で魚の取れる場所が北上しています。かつては本州でたくさん取れたブリが、今では函館が産地になっているほどです。では函館、北海道で取れていたイカはどこにあるのか。やはりロシアに北上したのではないかと思います。しかし現在、ロシアはイカの輸入対象国になっていません。これらのことを組合として国に陳情していきたいと考えています。

 函館の加工業はイカを主力にしてきました。組合全体を見ても9割がイカの加工製品です。今まではそのことを強みにしてきました。スケールメリットも出ていましたし、加工技術も高い。 それが今となっては裏目に出てしまっています。イカからほかの海産物には簡単に転換できませんし、製品が小売店の棚から外されてしまった場合、函館の加工業者には代替の製品がありません。一方、例えば青森県の八戸市は、イカで有名ですが、同時にサバやイワシの産地でもあります。複数の原材料でバランスを取ることも可能です。函館の加工業者はそれができませんから、危機感を募らせています。