値上げで販売量が落ち込む

 函館ではスルメイカ漁は、毎年6月に解禁になり12月までがシーズンです。加工業者はこの間にスルメイカを買い付けてその多くを冷凍保存し、翌年1月から9月ごろまでに製造する加工食品の原料として使います。ですから、不漁の影響は半年から1年遅れで出てきます。そのため今年が厳しい。組合全体のイカ関連製品の生産量は3~4割は減るのではないかと見ています。

 私が社長を務める古清商店の場合、7月中旬ごろからスルメイカの買い付けを始めます。が、昨年は不漁のため8月末からと遅れました。

不漁で価格の高騰が続く
●函館市のスルメイカの取扱量と取引価格
不漁で価格の高騰が続く<br />●函館市のスルメイカの取扱量と取引価格
出所:函館市(函館市水産物地方卸売市場の数値)
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 その後、10月初頭までは買い付けをしていましたが、10月中旬ごろになって「今年は(記録的な不漁で)大変だ」という感覚になりました。シーズン当初から、仕入れ価格が400~500円程度と高値で、600円、700円という具合に上がっていきました。その後、800円、900円へと高騰したところで仕入れをやめる判断をしました。そこまで高いものは買えませんでした。

 仕入れ価格が上がった分、加工商品の価格を3回、上げました。5%、10%上げるといった通常の値上げと違って、2割、3割は当たり前で上げていきました。2割ずつ2回上げれば元の価格の1.5倍近くになります。それでも2回目まではなんとか売り上げも付いてきましたが、3回目はさすがに厳しくなりました。値上げをしても小売店の売り場には置いてもらえたのですが、塩辛など安かった製品を高くしてしまうとやはり売れなくなってしまうのです。

 当社の製品ばかりではなく、組合全体で塩辛の売れ行きが落ちています。高値になったため、小売店の陳列棚から外されてしまったケースも見られます。まだ値上げを検討しているメーカーもあるようですが、これからの値上げは大変だと思います。

 古清商店では、製品によってばらつきはありますが、値上げの影響で販売量はやはり下がっています。売れなければ新たに製品は作れません。工場の稼働率はかなり低下しています。

 実は近年、工場作業員の人手不足が深刻でした。観光業が好調なことや外食で大手企業が進出してくるなどして高い賃金で募集をしていることなども影響しています。そうなるとどうしても水産加工業には人が集まりづらくなります。そこで、ベトナムから外国人研修生を18人、受け入れる計画でした。

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