金融機関に相談

 このままでは経営が立ち行かなくなるのは分かっていましたが、地域住民の足である鉄道をなくすわけにはいかない。負担を軽くするために、線路など鉄道の設備資本を自治体に持ってもらい、運営を島原鉄道が受けるという「上下分離方式」も考えられましたが、これは自治体に大きな負担を強いるものです。なかなか受け入れてもらえるものではありませんでした。

 そこで主要取引銀行の十八銀行、親和銀行に相談に行きました。そこで紹介されたのが、地域経済活性化支援機構という官民のファンドでした。静岡県の大井川鉄道の再生支援の実績がある機構です。

 「有用な経営資源を有しながら過大な債務を負っている事業者を再生支援する」という業務を手掛けており、この機構が、支援会社の一つである長崎自動車を見つけてきてくれました。同社は長崎市を中心に路線バスを運行している企業です。

 両社ともに島原鉄道がまだまだ再建可能だとして支援を決めてくださいました。地域に欠かせない交通インフラであることや、社員が地道に「島原半島世界ジオパーク」といった地域情報の発信や地域の皆様に職場体験をしていただくなど、地域貢献活動を多く実践してきたことを認めていただいた結果かと思います。

 機構と長崎自動車による再生支援については、島原鉄道が1億8000万円の第三者割当増資を行い、それを長崎自動車と機構が引き受け、合計で90%を超える議決権を持つことが柱になっています。同時に島原鉄道は金融機関に大幅な債務免除を受けることになっています。また、長崎自動車と機構には従業員の雇用の継続を約束してもらっています。いずれも大変ありがたい申し出だと考えています。

 12月中旬に実施予定の臨時株主総会では、長崎自動車から社長を、機構からは役員を受け入れることを予定しており、現在の社長である私は退任する予定です。

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