今後は他県への進出も検討

 うちで一番大きい店舗である上通中央店でも、連休や夏休みなどの繁忙期を除いた日でも1日300杯くらいですから大きな数字です。

 今後も、もうけようと思ったら、他県に出た方がいいと思っています。ただ一方で、事業を広げて失敗した店も数多く見てきました。営業は広げるだけが営業ではない。状況によって、広げたり、縮めたり、変化させながら、「こむらさき」を存続させる方法を考えていきたいと思います。

熊本県の求人倍率、全国より高く

 熊本県では2016年4月の熊本地震発生以降、深刻な人手不足が続いている。厚生労働省が10月31日に発表した9月の有効求人倍率(季節調整値)が1.52倍だったのに対して、熊本県は1.58倍だった。全国値よりも高く、全国の都道府県別のランキングでは17位に位置する。訪日外国人向けの消費で地元経済が盛り上がる福岡県(21位)や京都府(23位)より上位だ。熊本地震の復興需要と景気の上向きなどで高水準の求人が続いている。

熊本県の有効求人倍率は全国よりも高い
●全国と熊本県の有効求人倍率

 人手不足の動きと並行して、最低賃金は上昇傾向だ。熊本県の最低賃金は06年に時給612円だったが、16年は16.8%増の715円にまで上がった。さらに今年10月1日からは最低賃金が737円に改定されたばかりだ。全国的な水準と比較すると、熊本県の最低賃金は低いが、日本全体を覆う人手不足の波に乗り、着実に上昇を続けている。熊本ラーメンでは現在、研修期間が明けたバイトに時給750円を支払い、無料のまかないをつけているが、時給は最低賃金ラインとほぼ変わらない。

 飲食店を悩ませる人手不足の流れは、震災の復興需要が一巡した後も解消されそうにない。日本銀行熊本支店が今年4月に発行したリポートは「復旧・復興需要という循環要因だけではなく、少子高齢化、若年層を中心とした生産年齢人口の県外流出といった構造要因も強く影響」と指摘した。

 温暖な気候の熊本県は、農業の有力地として注目度が高く、農業生産法人も増えている。熊本県農業協同組合中央会によると、15年度の新規就農者数は311人で、3年連続で300人台に達した。農業法人や農業参入企業の新規雇用就農者は増加傾向にあるという。さらにIoT(モノのインターネット)市場の活性化により、半導体関連企業も熊本県で工場を増設するなど積極的な投資に動いている。原材料費高騰に苦しみ、時給を引き上げづらい飲食店にとって、厳しい局面は今後も続きそうだ。