痛かったのがニンニクです。10年前は1kg当たり300円だったのが、今年は1600円ぐらいまで高騰しました。とはいえ、原価が上がっているからといってラーメンの値段をおいそれと上げるわけにはいかない。こうした状況で、バイト代を上げようと思ったら、とても大変です。

 もっとも、現在の時給でも全く応募がなかったわけではありません。しかし、その場合、来てくれる方の人材の質は高いとは言えませんでした。

 特に、少子高齢化の影響なのでしょうか、今の若い子の中には、コメや皿の洗い方から教えないといけない子も少なくありません。家庭で一般的な常識を全然、教えていないのでしょう。

 優秀な人材を雇おうとすると、バイト代を上げるしかないが、原材料の高騰でそれができない──。そんな構図は飲食業界全体のものではないでしょうか。

 東京の同業者も求人が困難になってきていると聞きます。熊本ラーメンは、熊本を代表する食べ物の一つですが、そんなブランド力も、人手不足と原材料高騰には勝てませんでした。

 結局、自社ビルである本店を閉店し、貸した方がいいとの結論にたどり着きました。ちょうど店舗の設備が不調だったことも苦渋の決断を後押ししました。休業のままでは収益はありませんが、貸せばゼロよりは上ですからね。改装して店をやりたいと考えている若い人に貸す予定です。若手のチャンスの場として使ってもらえるなら、本店があった商店街の地域貢献にもつながるとも考えました。

 今後は、本店から歩いて5分ほどのところにある上通中央店(熊本市中央区)と、新横浜店(横浜市港北区)の2店舗の経営に集中します。2店舗体制になることで会社の先行きを心配する声もあるかもしれませんが、ここへきて利益率は改善しているんです。本店に来ていたお客さんが上通中央店に来てくれるようにもなりました。

 様々なコストが上昇する中、中小企業はコスト削減の余地を探すのはかなり厳しい。だから、最近ではデパートの催事の引き合いなども受け、売り上げを伸ばすようにもしています。大阪や名古屋、福岡などあちこちからオファーがあり、催事では1時間で120杯もラーメンを売ることができます。1日にすると、600~700杯になります。