この責任は私にあります。ここ4年ほどで本支店数は20弱から86まで急激に増えています。ベンチャー企業にありがちな、組織が規模に追い付いていない状況だったと反省しています。

弁護士会からの重い処分

 消費者庁から措置命令を受けないようにするために、全国紙3紙での謝罪広告掲載やホームページ上での謝罪、広告チェック体制の整備など考え付くことをすべて実行しました。これは消費者庁から措置命令を受ければ、東京弁護士会が大きく問題視することが予想されたためです。弁護士自治の考え方に基づき、弁護士はどこの行政監督からも独立しているにもかかわらず、措置命令を受けたとなればその一角が崩れたことになるためです。

 実際、東京弁護士会により懲戒審査が進められ、10月11日の業務停止という懲戒処分につながりました。違反をしていたので処分があることは理解していましたが、その処分の重さには驚きました。一番軽い戒告だと思っていましたし、最悪でも1カ月の業務停止だろうと考えていました。

 下された処分は事務所2カ月で私個人に3カ月でした。1カ月を超える業務停止を受けた場合は、その時点で受任している弁護士業務のすべてを解除しなければいけません。10万人の顧客に大きな迷惑をかけることになりますし、事務所としても大きな損失になります。

 こうした事態を予想して、契約時には事務所とともに弁護士個人とも契約する仕組みにしていました。弁護士個人が受ければ業務は継続できるからです。しかし東京弁護士会の処分の1週間前に弁護士会の規約が改正されており、個人で業務を請け負うことは禁止されていました。オフィスの賃料や人件費はどんどん出ていきますので、資金的にはかなり厳しい見立てでした。

 弁護士法では、私のように業務停止を受けた弁護士は事務所を退所する決まりがあります。これは同時に、私が保有する事務所の99.9%の株式も手放すことを意味します。その金額は解散価値から計算すると、70億円になります。そんな金額を事務所が払えば資金不足で存続できなくなります。

 業務停止明けに再出資する方法も考えました。しかしいったん私が売却して売却益を得るため、私への税金が40億円ほどかかることになります。事務所に戻す金額は半減してしまう。これでは存続は難しい。

 法人としてはリストラを実行して規模を本支店21弁護士50人規模に減らす案や、事務所自体の解散も考えました。

 ただ関係各所との話し合いの中で、弁護士個人が引き続き業務を請け負えたり、株式売却への課税も回避できそうだったりとめどがついたため(*注1)、12月に何とか再開にこぎ着けました。

*注1 課税が回避できるかは、まだ決まっていない。


 現在、日本弁護士連合会に、東京弁護士会による処分が重すぎるとして審査請求を申し立てています。これは景品表示法違反の有無を争いたいのではなく、処分が軽くなれば私がアディーレの株式を手放さなくて済むためです。

 同じ間違いをしないように再発防止策も打っています。①審査室の新設と広告チェックフローの改訂②景品表示法の趣旨を所内へ浸透させる③景品表示法を順守するように就業規則を改訂④最新違反事例の把握および事前チェック体制の整備──などです。

 これらは消費者庁からの指摘を受けた際にも実施していますが、さらに徹底するようにします。

東京弁護士会「極めて悪質な行為」

 東京弁護士会は10月11日に、アディーレ法律事務所および石丸幸人氏に対して、業務停止の懲戒処分を行った。処分の理由について東京弁護士会は、「アディーレ法律事務所が景品表示法違反をし、消費者庁より広告禁止の措置命令を受けた。さらに日本弁護士連合会の弁護士等の業務広告に関する規程にも抵触しており、弁護士法人として品位を失うべき非行であると判断したため」としている。

 4段階ある懲戒処分の中で業務停止は3番目に重い処分になるが、その中でも1カ月を超える業務停止は重い処分に相当する。現在依頼を受けている弁護士業務を白紙に戻す必要があるためだ。

 処分内容について、「アディーレ法律事務所の広告表示は、実際の取引条件よりも有利であると誤認させ、一般消費者の自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれのある極めて悪質な行為であり、しかも、長期間にわたって多数回反復継続されている組織的な非行と言わざるを得ない。市民の弁護士会に対する信頼を確保するために、非行に対しては厳正に対処する」と東京弁護士会は厳しい姿勢を示している。